冬物語

冬至が近づいてきた。そこでぼくは
エンヤを聞く。
心のこもった手作りクッキーを食べる。
心のこもった手作りパンを食べる。
一見、脈絡がなさそうに見えますが、ぼくの頭の中の冬物語に必要なのです。

感謝の日

今日は祭日だ。何の日かは知らない。興味がないことは分からない。それで困ることもない。困らないから気にしない。でも、今日ぼくは休みじゃない。
豆を焼き終わってホッとしているところに友人Fの妻がやってきた。
「ちょうど一服するところだったんだけど、飲む?」ぼくは言った。
「おう、くれ」
人妻Fは、いつもこんな調子でしゃべる。
「今日は祭日らしいね、何の日?」ぼくは聞いた。
「バーカ、勤労感謝の日よ」彼女は怒った顔をするのが大好きだ。
「ふーん、お仕事に感謝しろ、っちゅう日やな」
「たぶんね」むすっとした顔で彼女は言った。
「明日もアサッテも感謝せな、いかんよ」ぼくは言った。
「え?なんでよ」
「きんどう感謝の日」
「はぁ?・・・ぶぁっかじゃねーか」必死に笑いをこらえてる。
「おかしかったら素直に笑えよ」ぼくは言った。
「あははは」
彼女はひとしきり、実に愉快そうに笑った。
笑い顔はステキなのだが。

交差点

首の具合はだいぶ良くなった。といっても、まだ右には15度以上回せない。仕事にはほとんど支障なくなったが、まだ車の運転が怖い。交差点での右方向の確認ができない。だから信号のない交差点を避けて走っている。首が回らなくなった日の朝のことだ。出勤のため、恐る恐る車を走らせた。坂を下り、最初の交差点に差し掛かったとき、ぼくは自分の判断の甘さを思い知った。この交差点には信号がない。交通量が多く、右からも左からもひっきりなしに車が来る。ぼくは立ち往生した。後ろの車がいらいらしてるのが分かる。どうしよう、右から来る車が見えない。その時、心のどこかで声がした。
「フォースを使え」
時々ぼくは自分が信じられなくなる。

回復

腹痛で夜中に目覚める日々が続いていたが、その原因が分かった。寝る前に食べすぎたせいであった。一週間ほど前から風邪をひきかけていたのだが、ぼくは風邪をひきそうになると、とにかくたくさん食べて寝ることにしている。普段の倍近く食べる。薬は飲まない。たくさん食べてたっぷり寝ると、たいていの病気は治ると信じている。しかし、よく考えてみるとおかしな話だ。この前読んだ本にも、病気のときはあまり食べない方が良いと書いてあった。なぜそのような単純な考えに囚われ、実行しているのだろう。実をいうと、理由は分かっている。あのマンガのせいなのだ。カリオストロの城。ルパンの仕業なのである。劇中、ルパンは敵地に侵入しようとして失敗、深い痛手を負ってかくまわれる。彼は絶対安静の身でありながら、馬鹿げた量の食物を一気に平らげ、死んだように眠る。すると彼はウソのように目覚しい回復を遂げるのである。もちろん、これは虚構である。マンガの世界なのだ。しかし、そのあまりに見事な展開ぶりにぼくは甚く感動し、彼の生命力を支えるシンプルなライフスタイルは、ほぼ無意識的にぼくの記憶の枢要な部分に刻み込まれてしまったのである。

黄色い花咲く丘

月曜日は定休日。
いい天気だ。こんな日は…
そう、こんな日は、好きな音楽を連れて、黄色い花の咲くあの丘へ。
ラララ、ランランランランラーン♪
——テーマ音楽は「森のクマさん」——-
しかし、今日もまた昨日に引き続き、首が痛くてベッドの中。
ベッドに沈んだまま、ぼくは思った。
人間の体って、奇跡的だ。恐ろしく良くできている。
首が治ったら、もっと体を大切にしよう。
しかし、体が治ったとたん、そんなことはコロッと忘れてしまうのだ。

いてていてて

第三日曜日で休み。
朝起きると、昨日の悲劇はさらにバージョンアップしていた。
頭を動かすと、首に激痛が走る。心臓が一瞬止まり、目の前に花火が上がる。例えるなら、クビのギックリ腰。
オレが何か悪いことをしたとでも言うのか。
せっかくの休みだというのに、まったくやるせない。
—–BGM Harry Belafonte Banana Boat—–

いててて

寝違えたようだ。首が回らなくなった。むりに回すと痛いので体ごと回す。なんだかロボットみたい。かっこわるいので、店にいらしたお客様に「寝違えちゃってね、えへへ~」なんて、いちいち言い訳していた。見た目は喜劇的だが、ぼくには悲劇だ。

冬の音

Mumin_022寒い朝。冬が始まったような寒さだ。ムーミン谷の住人たちは冬眠の準備を済ませただろうか。
ところで、このオルゴールみたいな楽器を持ってる人、なんて名前だったっけ。

強力わかもとの夜

Wakamoto_01
ここ数日、深夜に胃が痛くなって目が覚める。理由はわからない。
ぼくは薬を飲むのが嫌いだから、たいていガマンする。
しかし、睡眠不足はお肌に悪い。
そこで、強力わかもとを飲むことにした。
これは胃薬のような味がしないので気に入っている。
大人は一回9錠を飲むことになっている。9錠。なんか変だ。
9錠も10錠も同じじゃないかと思うのだが。
しかし、そのコダワリがぼくは好きだ。
ご存知かもしれないが、ブレードランナーという映画の夜のシーンに、強力わかもとのネオンが登場する。未来の都会には、強力わかもとと、今はなきPANAMのネオンが共存する予定らしいのだ。
つまり、ぼくは胃薬は嫌いだが、強力わかもとは好きだ。