感謝の日

今日は祭日だ。何の日かは知らない。興味がないことは分からない。それで困ることもない。困らないから気にしない。でも、今日ぼくは休みじゃない。
豆を焼き終わってホッとしているところに友人Fの妻がやってきた。
「ちょうど一服するところだったんだけど、飲む?」ぼくは言った。
「おう、くれ」
人妻Fは、いつもこんな調子でしゃべる。
「今日は祭日らしいね、何の日?」ぼくは聞いた。
「バーカ、勤労感謝の日よ」彼女は怒った顔をするのが大好きだ。
「ふーん、お仕事に感謝しろ、っちゅう日やな」
「たぶんね」むすっとした顔で彼女は言った。
「明日もアサッテも感謝せな、いかんよ」ぼくは言った。
「え?なんでよ」
「きんどう感謝の日」
「はぁ?・・・ぶぁっかじゃねーか」必死に笑いをこらえてる。
「おかしかったら素直に笑えよ」ぼくは言った。
「あははは」
彼女はひとしきり、実に愉快そうに笑った。
笑い顔はステキなのだが。