夢の中へ

あと40ページでこの物語は終わる。「街とその不確かな壁」。ぼくはその結末をあれこれ想像しながら残り少ないページをめくる。若いころは全くそのようには思わなかったが、ある年齢に差し掛かったころから、そうか、世界はすべてイリュージョンなんだ、と思うようになった。ある時期を境に突如現れたこの手掛かりさえない不確かな世界は、それまで経験したことのない居心地の良さをぼくに提供してくれた。
写真は日曜日の午後に現れた仕事男