夢の中へ

あと40ページでこの物語は終わる。「街とその不確かな壁」。ぼくはその結末をあれこれ想像しながら残り少ないページをめくる。若いころは全くそのようには思わなかったが、ある年齢に差し掛かったころから、そうか、世界はすべてイリュージョンなんだ、と思うようになった。ある時期を境に突如現れたこの手掛かりさえない不確かな世界は、それまで経験したことのない居心地の良さをぼくに提供してくれた。
写真は日曜日の午後に現れた仕事男

「素敵なおじさま」シリーズ

先月末、北海道のNさんからこんなメールをいただいた。


最近のマスターのブログの「素敵なおじさま」シリーズいいですね.
味のある面白い大人になっていきたいものです…


「素敵なおじさま」シリーズ ?
「ステキなおじさま」なんて撮ってるつもりなど微塵もなかったぼくは、メールを読んで思わずのけぞった。でも、言われてみれば、男の目にはそう映らなくても、女性の目には、あるいは彼らは「味のある魅力的な」、もっと言うなら、セクシーな男?に映るのかもしれなかった。そういえば、今はどうか知らないけれど、「枯れ専」という言葉がはやったことがあった。「枯れ専」とは「枯れた男性専門」の略。「枯れた男」とは、年を経て青臭さが取れ、涼しげで脂ぎってない、つまり経験豊富で落ち着いた魅力がある大人の男、といった感じ。そういう男性を好む女性を「枯れ専」と称していたと思う。

ワクワクさせてよ

「遊びで写真を撮ることがなくなったなぁ」と、R氏は言った。あのころは素敵な写真を毎日のようにネットで公開していたのに。
遊びを仕事にしてしまったから??

気の向くままに花や風景をカメラに収めていた、あのころのR氏

木曜日の午後

雨の天文館からやってきた墓場の鬼太郎少年。近頃カメラボディを買い替えたそうです。このサイズで4000万画素、手ブレ補正7段。でもデザインが気に入らないとのこと。ライカのようなレンジファインダー風のデザインだったら…

これはぼくが初めて買った100万画素のデジカメに付いてたメモリーカード。4MB。

たそがれのCAR BOY

西日が射す店に入ってきたバイク少年は、カウンター奥の席に直行し、柱にもたれて、しばらく目を閉じていた。妙な既視感があった。それはむかし見た映画、真夜中のカーボーイのラストシーン。フロリダ行きのバスの後部座席で窓に顔を寄せたまま息絶えるダスティンホフマン。バイク少年は愛車アルファ・ロメオで湾岸をドライブし、帰りに寄ったのだが、逃げ道のない道路で渋滞に巻き込まれ、死ぬほど疲れたのだった。コーヒーを飲んで息を吹き返したバイク少年と、いつものように車の話を始めたが、ふと少し前に読んだネットの記事を思い出し、その話をした。それはビル・ゲイツが人生後半で悟った、人生で2番目に大切な意外なこと、で、それは「遊び心を持つこと」なのだという