発火

青春時代。自分が何をやっているのか分からなかった。過去も未来もなかった。今がすべてで、遠くを見る余裕などなかった。ただただ、地面を這いまわっていた。虫は火に飛び込んで死ぬ。人は自ら発火し、自分を焦がす。時は過ぎた。今は同じことをやっても、どこかオモシロ半分な不真面目さが付きまとい、発火することがない。煙も出ない。作戦を変えなければ。

くしゃみ

風邪をひきかけているのか、くしゃみが良く出る。
そんな時、やっぱりというか
む、だれかウワサしてるな
などと思う。

大地の声

吹きすさぶ風。砂が舞い上がり、前が見えない。ぼくは砂漠を歩いている。人の言葉が心の奥深くに達することは稀だ。せいぜい最初の門で力を失い、風のように消える。魂の扉をたたくことさえできない。たしかに扉は扉として機能している。それはかけがえのないものを守っている。やさしさは透き通ったからだの向こうにある。人の中にそれを見つけようとしても、そこにはない。やさしさは人の中にはない。大地の声。感謝と畏れの念を抱かせるもの。それは人を通して聞こえてくるが、人の中にはない。創られたものは創ったものに勝ることはない。大地の声。扉はその時、開く。

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微熱少年モード終了

人生いろいろあって、ぼくはそれぞれの状況に適応するモードを選んで自分を変化させているわけだけど、とりわけ気に入ってるのが「微熱少年モード」
ぼくの中の微熱少年は、たとえば心にダメージを受けると、それを独自の美学を駆使して変換し、芸術の域にまで昇華させる努力をする。現実はみっともない状況であっても、それをまるでフランス印象派の絵のごとく、原色の粒子を星のようにちりばめて表現しようとする。たとえば、描こうとする絵の中をニワトリがひょこひょこ歩いていると、それを白く輝く白鳥に変換して配置する。そのあたりをヌケヌケとやって涼しい顔をしてるのが、ぼくの中の微熱少年なのです。
あと2~3日続けたかったのですが「そんなもん、さっさとやめなさい」と声がかかったので、やめます。

湯気

店の暖房を入れた。
この冬初めて。
ぼくは寒さがあまり分からないのだけど、今日はどうも寒いような気がする。
お客さんに聞いてみた。
「店の中、寒くないですか?」
「寒いですね」即答だった。
すぐに暖房を入れた。
冬だ。
いれたコーヒーから白い湯気が立ち昇る。
あたたかさが恋しくなる季節。

北風

寒いな
コートをどこかに置いてきてしまった
だけど風、止まないでくれ
話す相手が欲しいから
君はいつも一人
わかるだろう?
話し相手になってくれ

あの海へ

今度の休みは、海に行こう
砂浜に座って、波の音を聞こう
つかれた君を休ませてあげる
ゆっくりとだけど、安らぎはきっとくる

伝わりますか

言葉の向こうにあるものが分かった時、それを人にどう伝えればいいのだろう。
どうしたら伝わるだろうか。
いつか無言で分かち合えると信じて待てばいいのか。
その時間は無駄に終わらないだろうか。
ぼくは性急過ぎるだろうか。

朝刊の音

オレって何だろう。
ベッドの中で、ずっと考えてた。
外でバイクの音がし始めた。朝だ。
やれやれ、一睡もできなかった。
フッ、案外、オレも若いね。

白いケータイ

So903i_2新しいケータイが届いた。
丸っこくて、かわいいデザイン。
白はやさしいな。
悲しい時や、つらい時、ぼくの心を少しだけ明るくしてくれる。
こんなことを書くと、「なにかあったの?」なんて声が聞こえてきそうだけど。
たぶん、なにもないのです。