リハビリのメインは自転車こぎ。こいでも進まない役立たずの自転車に乗って20分間、60回転/分をキープしながら見えないサイクリングロードを黙々と走る。途中、先生がニヤニヤしながらペダルの負荷を上げていく。苦しくはないけど、運動不足を痛感する。退院したら体を作り直そうと思っていたのだけど、既にそれは始まっている
長く狭いトンネルを抜けた気がした
あの頃はよかった
午後、胸に貼り付けられた縦一文字のデカい絆創膏が取れた。傷口はちゃんと測ってないけど、多分30センチ以上あると思う。学生の頃だったら、友人たちに見せびらかしてドヤ顔できたのに。今はこれを見せる相手が見つからない。とても残念だ。
(写真は割愛しました)
リブート中
今日は日曜日。そのせいか病棟は静かだ。もっともICUはどうか知らないが。あそこは昼夜関係なくアラートが鳴りっぱなしだった。午前中、採血のあとレントゲン。その後予定が入ってなかったので看護師にお願いして頭を洗ってもらった。1週間ぶり。生まれ変わったようにスッキリした。コーヒーも買ってきて飲んだ。いい気分。しかし、ぼくの中のエンジンが回らない。何か理性的な抑制がいつも以上に働いている。それを払って点火しなければ。ぼくはiPodを起動させ、ネットにつなぎ、ある音楽を探し始めた。それはVan Halen。アルバムは持っているが、ぼくのiPodにはVan Halenは入れてない。ぼくは昔、Van Halenを大音量で聴き過ぎて難聴になり、しばらく病院に通うことになった。しかしVan Halenは大音量で聞かないと意味がない。できれば大型スピーカーで。ぼくはJBLで聞いていた。大音量で聞くには音質がよくなければならない。iTunesStoreで探してみると案の定、アルバムのいくつかがRemasterされていたのでダウンロード。久しぶりに聞くVan Halen。自分でも驚いたのだが、目頭が熱くなって泣きそうになった。既に2時間以上大音量で聞いている。困った。分かっちゃいるけど止められない
自分はもっとタフだと思っていた
昼過ぎにICUから帰ってきました。簡単に考えていたけど、手術から覚めたときの苦しさといったら。
痛いし、呼吸が苦しいし、訴えようにも喉に何か突っ込まれていて話すこともできない。目を閉じるとリアルなペイズリー柄の3D空間が渦巻いている。何これ。こんなハズじゃなかった!なんで?と言うわけで、執刀医の説明書きを手がかりにネットでちゃんと調べてみた。今回の手術は大動脈基部置換術というもので、複雑で難しい手術との事。ぼくも冠動脈を人工血管に縫い付けるなんて人間技じゃないように思えた。しかも重症だったから執刀医は大変だったかも。今、病室でこれを書いてますが、おなかに刺さっていた3本のパイプや首と手の針の付いたチューブも全部取れて、あとは胸から出ている3本の電極線だけです
夏への扉
日日是好日
起床5時10分。9時に寝るので普段より早く目が覚める。ヒゲを剃りに暗い廊下を歩いていると、ナースステーション前で看護師に呼び止められた。体重を測っていきませんか?断る理由もないので、靴を脱いでハカリに載ると、3日前より2kg減っていた。看護師もノートパソコンのデータを見ながら首をひねっている。おなかはもちろん、体のコンディションは良好なのに。原因は食事の量が少ないのと、たぶん読書のせい。読書は意外とエネルギーを消費する。
先ほどお客さんからいただいた日日是好日という本を読み終えた。前書きに、フェリーニの映画「道」を鑑賞した時のエピソードがあって、それに甚く共感したせいで、にわかに作者に親近感を覚え、珍しく素直に読み進むことができた。朝、読み始めた時は灰色の雲が垂れ込めていたが、読み終えて見上げた空は晴れていた。
ほかにすることがないのです
The Door into Summer
主夫と生活
台風のせいで朝から風雨が強い。今日は入院の準備で家にいる予定だったので天気などどうでもよかった。4月の検査入院は一週間だったが、こんどの入院は3週間くらい。長すぎる。むかし、崖から落ちて手足を骨折し、40日間入院したことがあるが、この時は病室にコーヒーのドリップセットを持って行って、好きな時にコーヒーを淹れて飲んでいた。でも、今回はそんな自由はなさそうだ。
快適な入院生活を過ごすために、どんな準備をすればいいだろう。ぼくはテレビを見ないのでテレビ以外に楽しめるものを準備することになる。本は準備した。ブックリーダーに電子書籍を100冊以上入れてある。音楽。スマホでも聞けるのだけど、音質が悪いので以前使っていたiPodを引出しの奥から取出し、パソコンにつないで同期。充電している間に最近iTunesにダウンロードした米津玄師のアルバムなどがiPodに送られた。準備をしているうちに昼になった。昼食は台風時の定番、お好み焼き。ところで忘れないうちに書いておこうと思ったのが、ぼくが遠い昔、独身をやめた時に読んだ「主夫と生活」という本のこと。熱帯雨林の解説によると「ニューヨークで活躍していたコラムニストが仕事を辞めて主夫に。実体験に基づき、家事や育児に奮闘する姿をユーモラスに描いた作品」とある。このコラムニストの切実な主夫体験の物語が、今になって、仕事を辞め、妻とともに新しい生活を始めたぼくに絶妙なアドバイスをくれているのを今、実感しているのです。









