君はアイスクリーム

正午過ぎ。戸外は陽炎が立ち、ネコ一匹歩いていない。
それでも、こんなに暑いのに、お客様はいらっしゃる。
ぐったりして、目もうつろ。熱帯夜のせいかもしれない。
お客様が豆を選んでる間にBGMのCDが変わった。
「くちびるツンと、とがらせて、何かたくらむ表情は・・・」
大滝詠一の「君は天然色」
とたん、モノトーンだったお客様の表情に色が差した。
「知ってるんですか?」
「ええ、聞いたことあります」
20年以上前の曲だ。流行ったのは、彼女が中学生の頃だろうか。
彼女はどこで聞いてたのだろう。ぼくは走る車の中だった。
時々、わけもなく切なくなる。
とけたアイスクリームは元に戻らない。

車の窓

ぼくが最初に買った車は中古のいすずジェミニだった。27万円。もちろんエアコンは付いてない。神奈川に住んでた頃はそれで問題なかった。暑い日は窓を開けて走ればよかった。ある夏、ぼくは車で鹿児島に帰ってきた。桜島の火山灰が連日のように降り続いて目も開けられない。車の窓だって、絶対開けられない。ぼくは汗だくになってジェミニを走らせた。
ここ数日、暑い日が続く。すれ違う車はどれも窓を締め切っている。ぼくは女性を乗せている時以外、車のエアコンはまず使わない。窓を全開にし、ラジオのボリュームを上げ、汗をたらしながら走る。とても愉快。

月夜

M_0711
外に出るとムンクの描いたような不安な月が浮かんでいた。これは何のメッセージだろう。気をつけなければならない。あなたはコウモリになって空に飛んで行くかも知れないし、人の知らない道を犬のように駆けだすかもしれない。自分のことは自分が一番良く知っていると信じているなら、それは誤りであり、危険である。

午後の発電

Wind_01今日は休日。天気も良く、海で泳ぎたかったのだけど、台風の余波が残ってそうなのでやめた。食事をとった後、ぼくは屋上でぼんやりしていた。空は高く、雲は白かった。ゆるやかな風があるので、いい気分だった。風景に合わせて、夏っぽい音楽がアタマの中を流れている。遠くに目をやると、錦江公園のロケットが白く輝いている。海では客船がゆっくり南下している。山の上では、大きな風車が飽きもせず回っている。目に見えるものは倦んで、けだるかった。風はぼくの風車を回し、弱い電気が起きていた。Eを指していた針は、少しずつFに動きだした。

夕暮れ時

Tさんからお借りした「ALWAYS三丁目の夕日」をみた。
劇中、吉行淳之介という名の少年が出てきてびっくり。
母親はカズコ。ん?
しかし、その役どころに、ナルホド的気分になった。
作家、吉行淳之介から浮かぶ風景、それは遊郭、夕暮れ、曇り空、妾、色男、女、疲労。
劇中、淳之介少年は幼くして陰のあるオトナの雰囲気を醸し出していた。そのスジの女性に愛される男のムード。
うん、たしかにコレは吉行淳之介だ。

夜の風景

夜の10時すぎ、部屋が蒸し暑かったので屋上に上がった。
上空で月が明るく輝いていた。
稜線沿いに入道雲がいくつか顔を出し、それが月明かりに映え、言葉にできないくらい幻想的だ。
グレーと青のグラデーション。写真に撮れたら素敵なんだけど。
でも、無理なんだと思う。思った以上に暗いはずだ。
ファンタスティック。
みんなに教えてあげたかった。
いま、何をしているだろう、みんな。
テレビを見ている人。音楽を聞いている人。本を読んでる人。
寝てる人。
ちょっとでいいから見てごらんよ、あの空を。

ワイルドで行こう

Moon_03雨が好きな人でも、こう毎日降り続くと飽きが来る。かもしれない。ぼくは忘れっぽいから、空の青、夜空の月、そして星のことをすでに忘れかけていた。夜風に吹かれようと屋上に出たら、はるか上空で何か、ぼうっと光っていた。それは懐かしい何かだったが…たしか、ウサギが棲んでいる…そうだ、あれは月だった。

青春ドラマ風

時計は午前1時をまわろうとしている。某コーヒー店のホームページづくりもいいかげん飽きて、シャワーを浴びて寝ることにした。外は雷雨。土砂降りである。洗面所でパンツ一枚になった時、ぼくはいいことを思いついた。屋上のドアを開け、外に出ると横殴りの雨。ぼくは真っ暗な空を仰ぎ、雨に打たれた。(二つ前のエントリー参照のこと)ずぶぬれになりながら、勢い、コンクリートに大の字に寝転がった。寒くなって、震えがきた。なんとなく気分が醒め、風呂場に戻って頭を洗った。

やれやれ

K_hp某コーヒー屋のホームページを更新中なんですが、作っては壊し、作っては壊しした挙句、結局ブログスタイルになってしまいました。先日F少年から借りた、佐々木俊尚著「google」のなかに「ブログは検索エンジンに引っかかりやすい」と述べてあったのも、その理由のひとつです。広告を兼ねたHPは、検索でヒットすることが最優先事項なんですね。ただ、そうなると、HP全体の体裁を始め、いろいろ問題が出てくる。うーん、頭が痛い。ま、ボチボチやっていくことにします。

雨に打たれたい時もある

Shawshank3なにかに縛られ、動けなくなっている自分に気づくことがある。足があるのに歩けず、羽根があるのに飛べない。そんなとき、無性に見たくなる映画がある。たとえば、ショーシャンクの空。無実の男が脱獄する話。あの海の色を見るために、歩きだす。