灰色の夕焼け

昨夜はH・フォンダの「怒りの葡萄」という映画を見た。古い映画は、たいてい白黒である。劇中、スクリーンいっぱいに夕焼けが映し出された。当然、白と黒と灰の夕焼けである。驚くほど違和感があった。ぼくはあっけなく現実世界に引戻されてしまい、気がつくと暗い部屋のソファに座っていた。想像力の貧困が原因なのだろう。ぼくの中では、夕焼けは赤くなくてはならないらしい。

呼んでますか

いつもろくでもないことを書いているので、いまさら、ろくでもないことは書かないようにしよう、などという気はゼンゼンない。で、今日のろくでもないことは、ここ数日眠りがヒジョーに浅いという話である。その理由がふつうじゃない。ぼくが眠っている間、だれかが呼んでいるようなのである。いつもと違うのだ。真夜中、だれか知らないが、ぼくを呼んでいる。夜のしじまを超え、ぼくを呼ぶ声がする。ような気がする。だれかぼくを呼んでますか?

とんぼ

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近くに川があるせいか、外を歩いているとトンボが目に付く。これがゴキブリだったら、ぼくは家から絶対に出ない。トンボは嫌いな虫じゃない。どちらかといえば好きだ。でも、高いところから見下ろされるのは、いささか不愉快である。

愛がすべて

数日前F氏からDVDを借りた。それはキングコング。
絶海の孤島で神として祭られていたキングコング。すでに彼の一族は彼を残すのみで死に絶えていた。天涯孤独のキングコング。希望などどこにも見当たらない。そこにやってきた人間の女にキングコングは恋をした。麻酔に眠らされニューヨークに運ばれたキングコング。彼女を求め、見世物ショーから逃げ出した。彼女をさらい、エンパイヤ・ステートビルによじ登る。ビルのてっぺんで銃弾を浴びるキングコングを彼女は盾になって守った。キングコングも彼女を守った。生涯の愛を一瞬に傾け、力尽き、ついにビルから落ちるキングコング。しあわせなキングコング。

海辺のレストラン

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二日前のエントリーで、エンドルフィンのことを書いた。書いたあとで、また間違ったことを書いてるんじゃないか不安になり、ネットで調べた。いつも思うことだけど、書く前にちゃんと調べればいいのである。調べてみると、けっこうおもしろい。以前書いた「ひらめき脳」の茂木健一郎さんのwebマガジンもエンドルフィンでヒットした。うまいものを食うとエンドルフィンが出る、というわけで、うまいものを食べに南へ向かった。うまいものを食うだけなら、わざわざ遠くに出かけなくてもいい。しかし、ぼくのエンドルフィンはウマいだけでは出ない。空気が良く、価格が安くないとダメなのだ。12時過ぎ、いつもの笠沙の食堂に到着。日替わりは何?と聞くと、白身魚のフライとのこと。迷わずそれにした。ご飯のお代わり付きで630円。エンドルフィンが噴水のように出てる様子を想像しながら食べた。Bul_01食後のコーヒーは、海辺にある、例の変なレストランにした。(なお、ぼくがよく使う「変な」は「ステキな」「おもしろい」あるいは「グレート!」と同義語です。念のため)
海に面したデッキでコーヒーを飲んでいると、マスターが気を利かせてBGMをカントリーからムード音楽に変えてくれた。「グレート!」ぼくは思わず叫びそうになった。カントリーのままでいいに決まってる。帰りにマスターと話していたら、「トンネルの先の海沿いにおもしろい店ができているから行ってごらん」とのことだった。若い姉妹がやっているそうだ。失念したが、ラフィーヌ?みたいな名前だった。今度行ってみる事にしよう。帰りに枕崎の某量販店で、マグロのカマ一個48円を5個と、トビウオ一匹30円を3匹を買って帰った。
Makurazaki_01なお、冒頭の写真は、20年近く前によく行った公園。帰りに寄ってみたら、遊具はほとんど撤去され、草ぼうぼうになっていた。

変な店

某雑誌に当店の紹介記事が出たせいでお客様が多い。雑誌の購読者層を反映しているのか、仄かに知的なムードを漂わせた若い女性が多いのが、なんとなくうれしい。コーヒーの点て方を熱心に聞いていかれる。そういうマジメな初めてのお客さんにも、つい、くだらない冗談を言ってしまうのがとても悲しい。「変な店だった」と思って、二度と寄り付かないお客さんも多いと思う。分かっちゃいるけどやめられない。ウヒヒ。

四つの楽しみ

だれも知らないかもしれないが、郷ひろみという歌手がいた。なぜ彼を憶えてるかというと、彼はこういうことを言ったのである。「キモチイイことやってる?」この一言のせいで、ぼくは彼を忘れることができない。彼もたまには良いことをいう。キモチイイことをするとキモチイイ。エンドルフィンが放出されるからだ。中にはキモチワルイことをするとキモチイイ人もいるだろうが、ぼくは前者である。ルイ11世に「人生四つの楽しみ」というのがある。シンプルな内容だが、彼が言うとディープに聞こえる。

夜の雲

Light_01早く寝なくては、と、思うのだけど、寝るのが惜しくてなかなか寝られない。ここのところ夜が好きになっている。夜中に歩き回る。まるでネコのようだ。屋上に寝転がってずっと月を見ていた。冷たい風が心地よい。月の手前を薄い雲が西から東に流れている。夜空に寄生する生き物たち。いつまで見ていても飽きない。雲は次第に厚くなり、月を隠し、空を真っ暗にして己も姿を消した。しかたなくぼくは外に出て歩き出した。白く光る街灯があの世への道しるべのようにみえる。

白い手袋

これといった理由もないのに、なんだか元気が出ない。
モチベーションが低下して積極性に欠ける。
そんなとき、ぼくはラブレターの名作を読むことにしている。
これは手軽なわりに効果がある。
たとえばプーシキンあたり。
ラブレターじゃないけど、一昨日のエントリーで紹介したJe te veuxもいい。