青空。

アスファルトに立って空を見上げた。
ぼくの目のレンズは自動的に無限の彼方にピントを合わせる。
あの先に宇宙がある。透明な世界が広がっている。
心の中が透きとおって、青い空につながった。

残念なこと

お客様の勧めで、藤原正彦著『国家の品格』を読んだ。
おもしろかったので、文中で紹介されている新渡戸稲造の『武士道』も読みたくなった。とりあえず、同著『世渡りの道』を持っていたので、それを先に読むことにした。ずいぶん前に買った本で、内容はまったく憶えていなかった。3分の1読んだところで、つまんない、と思った。きっと、この本を買ったときも同じ理由で最後まで読まなかったのだろう。いや、間違いなく読んでいない。今の自分がそれを物語っている。この本は3分の1を過ぎたあたりから俄然おもしろくなる。一気に読める。文中、「このような人間になってはならない」という人間像が次々に示されるのだが、それはまさにぼくである。読んでいて穴があったら入りたくなる。真実の自分の姿を知るのはこんなにも辛い。もし、この本を買ったとき、ぼくが最後まで読んでいたとしたならば…
ぼくは今よりずっとマシな人間になっていたはずなのである。
残念である。

error

「以前会ったことありませんか」
こういう言葉は挨拶のように使っていい場合はあると思う。
粋な響きはあるが手垢にまみれた感があって使いたくない。
しかし、うっかり口に出してしまいそうになった。
われに返り、冷静に記憶を洗ってみた。
「一度も会ったことはない」と結論するしかなかった。

愉快な人

今日、最初にいらしたご婦人。
ぼくの目を一瞥したのちに、こう言った。
「わたし、今日一番の客?」
なんでそんなことが解るんだろう。だって、もう11時。
店を開けて1時間も経っている。
「そうですよ、残念ながら」
ぼくはワザと渋面を作って返答する。
ご婦人は、うれしそうにほほえむ。
自分の言葉で話す人は愉快だ。
もちろん、下手をすると、イヤミととられる危険がある。
言葉にスパイスを上手にかけられる人たち。いいね。
ちなみに、彼女はヨーロッパ映画通。

踊ろよbaby

雨が降っている。空は灰色。
気分が滅入ってきた。やりきれない。
踊ろよbaby ! 太陽は雲の上。
ほら、南の国のリズムが聞こえてきた。
踊ろよbaby !

少年

休み明けの朝。
「仕事なんか、つまんないから行きたくない」
と、ぼくの中の少年Aがすねる。
少年Aは、虫取りが大好きだ。
捕虫網と虫かごを持って山に出かけたい。
ぼくは少年Aをムシして、仕事カバンを車に載せ、エンジンをかける。
最初の交差点を曲がる頃には少年Aは消えてしまう。
こうして休み明けの一日が始まる。

雨のMonday

今日は月曜。定休日。
午後から雨が降るとの予報。確かに空は曇りはじめていた。
指宿の某温泉の外湯にのんびり浸かり、雨に打たれながら鼻歌でも歌おう、と計画した。フラワーパークに着いたのが12時35分。開聞岳はねずみ色の笠をかぶって憂鬱そう。満開のチューリップ畑を歩きながらレストランに向かう。色とりどりのチューリップがぼくに微笑む。まるでオランダにいる気分だ。行ったことはないけど。レストランでペンネの大盛りを食べながら雨が降り出すのを待った。しかし、雨は降りそうで降らない。優柔不断な空だ。結局2時を過ぎても雨は降らなかった。今日の計画は失敗に終わった。

motivation

Beer01やっと体調が戻ってきた。
と、いうわけで、試しにビールを飲んでみた。
どうも、おいしくない。
マズイな、と思うのは、ビールがまずい、ことじゃなく、ビールを飲みたい!という気分にならないこと。

冬みかん

みかんの皮がダブダブになって、味もブヨブヨになってきた。
みかんの季節は終わったらしい。
限られた間にしか手に入らないものがある。
そういうものは目に見えて愛おしい。
冬のみかんは器用だから愛される。
不器用なみかんは愛されない。
いつでも手に入るものは愛されない。
愛するものは手に入らない。

トイレ

Photo_14トイレは、なぜかとても愛着のわく場所である。そこには鍵のかかる秘密の扉があって、神聖な場所へといざなう不思議な気配が漂っている。と、いうのは、ぼくの勝手なトイレ観?である。そんなわけで、店のトイレにはミュシャのポスターを配した。ミュシャの絵には明るくも暗くもない陰翳を含んだ独特のムードがあるが、なぜかぼくには20ワット白熱電燈のともったトイレのイメージがダブるのである(笑)
いつかお金がたまったら、自宅のトイレ、洗面所、風呂、この三つを本格的なアールヌーボー調に仕立て、ミュシャの絵を飾りたい、と思っている。