台風の一日

へろへろ台風が、よたよたとワルツを踊りながら北へ移動している。ブンチャッチャーブンチャッチャ。いい気なもんだ。おかげで、店にはだれも来ない。しかたなく、ぼくは本を読む。F氏から借りてる青いハードカバー。「いったい、フランツ・シューベルトはどのような目的を胸に秘めて、かなり長大な、ものによってはいくぶん意味の汲み取りにくい、そしてあまり努力が報われそうにない一群のピアノソナタを書いたのだろう?」
よーし、いいぞ、まずまずの出だしだ。どれ、珈琲でもいれようか。
そんな退屈な一日であった。

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