あやしいヤツ

店にお客様がいないときは、店の外に出て写真を撮っていることが多い。首からカメラをぶら下げ、店の前の路地をうろうろしている。自慢じゃないが、ぼくは人相が悪い。昨日のことだ。隣家に咲いている花の写真を撮ろうと、首にカメラを下げ、道端に立って隣の庭をぼんやり眺めていた。そこに近くのマンションに住む若い主婦が自転車で通りがかり、眉をひそめて言った。
「怪しいよ」
「え?」
とっさのことで、ぼくは何のことかわからなかった。
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昨夜は月が出ていたものの、星がよく見えた。ぼくはふと、月が沈んだらアンドロメダ星雲を撮ろう、と思い立った。赤道儀を引っぱり出すのもめんどうだったので、今夜はデジイチの感度を上げ、三脚固定で撮ることにした。月が沈んだ午前一時、屋上に三脚を立て、カメラをセットし、レンズを天頂付近に向けた。試し撮りをしてみると、思った通り、光害のせいでコントラストが取れない。この団地も都会になったものだ。写真中央でぼんやり光っているのがアンドロメダ星雲(M31)。撮影データは、レンズ50mm、F1.2開放。ASA800、露光6秒。星雲周辺を拡大し、トリミングしてます。
ところで、昨日の「怪しいよ」事件のせいで、近所の人たちが、どう思っているのか気になりだした。深夜、屋上で明りもつけずに、カメラで何かを撮っている男。もしかすると怪しまれているのでは。
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東の空には、早くも冬の星座が顔を出してました。

銀杏

070921_02_22時半ごろ、ビニール袋を二つ提げて、船乗りのオッチャンがやってきた。オッチャンは店の常連さんなのだけど、若いころ貨物船で世界中をまわっていたというので、ぼくは「船乗りのオッチャン」と呼んでいる。ビニールの中身は、ひとつが中華料理店をやっている中国人の友だちからもらった手作りキムチで、もうひとつは、鹿児島アリーナで拾い集めてきたというギンナンだった。ぼくはこの手作りキムチが大好きなので、時々分けてもらっている。オッチャンがカウンターの前に立つと、それまで店を満たしていた上品なコーヒーの匂いは瞬時に吹き飛び、キムチとギンナンの猛烈なガス臭が店に充満した。さいわい店にいたのは金曜日の豆腐屋だけだった。
話は変わるが、店の駐車場の彼岸花が、もうすぐ満開だ。
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JAPANデザイン

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バンザーイ!
去年に引き続き二科展に入賞、会友に推挙されました。
あ、入賞したのはボクではなく、店のロゴを書いてくれたりしている、友人のN君です。つくづく思うのだけど、好きなことでメシを食ってる人って、いいよね。彼は高校時代からの友人なんだけど、彼の教科書やノートのふちは落書きだらけ。ヒマさえあればイラストを描いてました。ほんとに、なにか描くのが好きなんだよね。

ぬけがら

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おととい、山に行った。低い木の枝に、セミの抜け殻をみつけた。レンズを向けてみたけど、初夏に見た抜け殻とは、なにか違ってた。その抜け殻は本当に死んでいた。本当の抜け殻になっていた。

アートの森に行ってきた

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某コーヒー店は、祝日だろうがなんだろうが、月曜日は定休日。霧島アートの森は同じく月曜日が休館日だが、祝日は開いている。
と、いうわけで、アートの森で開催されている「ヤノベケンジ展」に行ってきた。
070917_04入場料はちょっと高めだったけど(といっても、800円)、かなり楽しめた。天気が良かったので、芝生のきれいな、野外展示場を時間を忘れてブラブラうろついた。作品を見るのも楽しいが、作品を眺めている人を観察するのもおもしろい。やがて観察するのにも飽きてきて、アートの森をあとにした。車はえびの高原に向かっていた。070917_03高原が近づくにつれ、道路わきに停車中の車が目立ってきた。何事かと思ったら、野生のシカが道路端まで出てきていて、それを車を停めて写メしているのだった。ぼくはシカには興味ないので、さっさと通り過ぎた。えびの高原の土産物店にはいると、宮崎県知事のイラストの入ったのぼり旗やポスター、商品群に圧倒された。イヤ~、これはすごい。鹿児島の土産物店では見たことない風景だった。あたりまえだろうけど。
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クロガネ

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美しいもの見ると、つい、ほしくなるのが人情。アスファルト道路にハマった、金属のフタもそのひとつ。見つめていると、たまらなく欲しくなる。できたら、ベッドの横において、いっしょに眠りたい。ピカピカの金属のかたまりは、子どもの頃から大好きだったけど、最近、錆びた鉄も好きになってきた。錆びた鉄に対しては、ピカピカの金属とは別の感情が働くようだ。なんというか、もののあはれに似た、なにか。
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秋ざれ

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ある日、忘れていた地面から一本の茎がすーっと伸びて、赤い花をひろげる。空に入道雲があろうが、この花が開いた場所が秋だ。
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金曜日の男

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第三の男という映画があったが、どんな内容だったか忘れてしまった。金曜日の男、という映画を知っているだろうか。ぼくははまだ見たことがない。たぶん、そんな映画はない。今日取り上げた金曜日の男、は映画ではなく、川辺町の某豆腐屋の異名である。これはぼくが勝手につけた名前で、この豆腐屋が必ず金曜日に来るのでそうなった。ぼくは彼の豆腐しか食べないことにしている。と、いいたいが、そんなことはない。彼の豆腐が近くで売っていないから、しょうがない。しかし、彼の作った豆腐がうまいことは事実である。今日も5丁買ってしまった。

秋の気配です

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勤務中、仕事に関係ないことをやっていると、上司に怒られる。上司も部下もいないボクは、だれにも怒られない。最近ボクは、ヒマさえあれば、店の外に出て写真を撮っている。写真を撮っているところに、お客様が来て、必ずこう聞く。
「何を撮ってるんですか?」
いちいち正確に答えるのがめんどくさいので、こう答えている。
「ははは、秋の気配、ですよ」
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