洗濯日和

いい天気になってきた。空気も澄んでいる。
こんな日はズックの靴を洗い、お天道様で乾かしたい。
できたら脳みそもきれいに洗って風にさらしたい。

ヒモの夢

女性が男性に向けて書いた文章を読んでいると、どういうわけか、あるものが頭に浮かんでくる。歯磨粉をチューブから出すのに力がいるように、文章も混沌から形を成して世に現れるには相当のエネルギーが要る。絶えずゆれ続ける揺りかご。揺りかごをゆする手。そのエネルギーはどこから来るのか。女性が男性に向けて書いた文章の行間には、揺りかごをゆする手の痕跡がみえる。
ぼくは今日も揺りかごにゆられて、なれもしないヒモの夢を見る。

微熱

こんなこと書くと、まずいんじゃないだろうかと思いながらやっぱり書いてしまう。つまり、うちの店に来る女性はみな魅力的だ。困ると言ってもいい。今日も朝からノーミソを揺さぶられっぱなしだ。こんな環境で仕事を続けることが果たして幸せなことなのか、時々考えてしまう。

靴の中の住人

1_2朝起きると月曜の朝だった。カーテンを開けると空は雲で覆われていた。雲の正体をご存知だろうか。もちろんワタアメではないが、勇んで「水蒸気!」などと答えると子供に笑われる。あれは水や氷の粒の集まりである。ついでに言うと湯気も水滴の集まりだ。というわけで、温泉に出かけた。月曜の昼だというのに混んでいる。八つある貸切風呂のうち、二つしか空いてない。やれやれ。平日の昼間はマジメに仕事をしていただきたいものである。ヒノキの湯船の部屋と、ツボみたいな湯船が2個並んだ部屋が空いていたので、迷わずヒノキにした。写真のキュートな足はぼくの足。長年使ってるので、ややくたびれている。足には口がないからしゃべれないが、うれしそうに見える。でしょ?

朝の音楽

Keyoflife日曜の朝は週に一回しかない。特別な朝だ。もちろん、月曜の朝だって週に一回しかない。
日曜日は、朝かける音楽もいつもと違う。慎重に選んでかける。
今朝は、スティービーワンダーの「キーオブライフ」を選んだ。天気のいい朝に、とてもよく似合う。と思う。
「キー オブ ライフ」
ずいぶん意味深なタイトルだね。

オリオン座

さっきまで星空を眺めていた。
静かにオリオン座が輝いている。
西に傾いたオリオン座を見ると胸が締め付けられる。
思い出してはいけない何かを思い出しそうになる。

バッハ

今日はモーツァルトの誕生日。
はじめてDVDプレーヤーを購入したとき、最初に買ったDVDソフトがアマデウスだったような気がする。しかし、このDVDソフトは画質が悪く、音質も良くない。テレビで見ていたときは気にならなかったのだけど、スクリーンに映してがっかり。
だから今夜は、彼の音楽を聴くだけでガマンすることにした。
今思い出したのだけど、むかし、ラジカセのテレビCMでこんなのがあった。中学生の男子が、自分の部屋に彼女を招待する。彼は最近買った、音の良いラジカセを自慢したくてしょうがない。
彼女がラジカセから流れている曲にウットリ聞き入っていると、彼はいきなり別の曲に変えてしまう。
「ほら、ピアノ曲だって、きれいだろう」と、男の子が自慢する。
「そうね、ピアノの音、とてもきれいだわ」
しかし、彼女が聞き始めると、すぐに別の曲に変えてしまう。
「どう?人の声は。まるで本当に歌ってるみたいでしょう」
「ほんと、そこで歌っているみたい」
彼女が聞き始めると、すぐにまた違う曲に。
彼女がうんざりしていると、
「きみ、なにか聞きたい曲はないかい?」と、彼。
「もう疲れたわ」
「え?モーツァルト?」
「バカ」
「え?バッハ?」

ナイトキャップ

Photo_17最近、熟睡している。と思う。
なぜなら夢を見ない。憶えていない。
おかげで寝覚めがいい。
正月以来、体調が悪くて酒を断っていた。やっと調子が戻ってきたので、寝る前に酒を飲んでいる。
飲んでいるのは安いウォッカ。SMIRNOFF。
これで悪夢とさよならできる。
夢の中で、いつもぼくはスーツを着たマシンガン男に追われている。ぼくは夢の中で何度死んだか分からない。

south bound

Photo_16店がヒマだと売り上げが少ない。売り上げが少ないと生活に困る、が、「ヒマであって欲しい」と思う時がある。数日前、「これオモシロイから読んでみて」と、常連のお客様が一冊の本を貸してくださった。
「サウスバウンド」
既に読まれた方もいらっしゃるかもしれない。ここ数日、忙しかったので、読み始めたのは今日。これが実におもしろい。やめられない、とまらない。食事をとる時間が惜しい。トイレに立つ時間が惜しい。いや~、久しぶりにおもしろい本を読みました。Oさん、ありがとうございました。

いい日旅立ち

Photo_15今じゃ谷村新司を知らない人も多いと思うが、友人の一人がこの谷村新司によく似ている。今日も配達のついでに店にやってきた。
「トウフ、いるね?」
これが彼のいつもの挨拶。
彼は薩摩半島の山奥にある川辺という町で豆腐を作っている。水がうまいからだそうだ。水にこだわり、豆にこだわり、女にもこだわった、かは知らないが、奥さんはかなり美人である。じつは、ぼくがサラリーマンをやめたきっかけのひとつが、彼の仕事に対する姿勢だった。サラリーマンだった頃、ぼくには彼が変人に見えた。彼は金のために仕事をしている様子がまるでなかった。彼は自分の仕事に対して頑固な哲学を持っていた。その時初めてぼくは気づいた。ぼくには仕事に対する哲学がまったくないことを。ぼくは、このままじゃいけないような気がしてきた。旅立つ日が来たのを予感したのがこのときである。