はじまり

終わらないことには始まらないように、
失わないと得られないものがある。
ここ数日、疲れているのは、そのせいだと。
終わることで、新しい、もっと気分のいい何かが始まるのだ。
今ぼくはそう思いたがっている。

赤い月

070828_01どうやら今日も、そうとう暑かったようだ。昼すぎにいらしたお客様によれば、実測38度あったという。ここ鹿児島市は、場所によって、ずいぶん気温が違う。当たり前なんだろうけど、ビルが密集しているところは暑いし、川や山の近くは案外涼しい。ぼくは街の中心から少し外れた団地に住んでいるが、街のほぼ中央にある店から家に向かって車を走らせていると、吹き込む風がみるみる涼しくなってくる。
さて、今夜は皆既月食だった。家に帰って屋上に上がると、すでに赤茶けた暗い月が山の上に浮かんでいた。三脚を立て、カメラをいじっていると、後ろのほうで声がする。お隣さんが、家族そろって窓から月を観察しているのだった。ぼくはパンツ姿であったが(ブリーフではない)、周囲は真っ暗なので、ぼくの姿はもちろん、パンツなど見えるはずもなかった。安心して写真を撮っていると、思いがけず後ろでフラッシュが光った。最近のカメラは月を撮るときもフラッシュが光るのだろうか。
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湖畔の公園

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ここは、ずいぶん前に、歩き始めて間もない娘を連れて遊びに来た公園。そのとき遊んだ回転遊具はなくなっていた。
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↑○○年前のビデオから切り出した写真
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雲のスケッチブック

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閉店後、店の屋上に上がってみると、西の空にラピュタな雲がモクモクとわきあがっていた。目の前で色を変えながら刻々と変化していく。まるで生き物のようだ。そういえばカメラを持つ前は、いろんな雲をスケッチブックに描いていたっけ。あのスケッチブック、どこに行ったのだろう。

いつものように幕が開き

070825_01土日といえば変わったお客さんが多い。ような気がとてもする。言うまでもないが、変わっているという判断はぼくの主観によるもので、普遍的な基準に基づくものではない。
「ぼくのブログに写真を貼って、彼女を募集してみるってのは、どう?」
常連のお客さんに、ぼくは冗談半分に提案してみた。
「いいね」と、彼は言い、
「でも、若い女の子とか見てるの?そのブログ」
と付け加えた。
「たぶんね」
ぼくは言った。
「ふーん。じゃあ」
と、彼はメモになにやら書きつけ、ぼくによこした。
「なにか反応があったら、ここにメールして」
つまり、上の写真はそういうわけなのであった。
さて、今夜は常連のお客様Kさん宅で食事会。ぼくは、Kさんちの音のいいオーディオ装置で、ちあきなおみを聞くのを楽しみにしていたのだった。Kさんちのオーディオ装置で聞く ちあきなおみは、ぼくの知らない ちあきなおみだった。スポットを浴びた彼女が、まるで幽霊のようにスピーカーの間に浮かび上がり、ひたすら愛する人に歌を捧げていた。そのひたむきな姿に、ぼくは胸が熱くなった。かなり酔っていたせいか、こんな言葉が頭に浮かび、ぼくは切なくなった。女は女であることから逃れられない。

ひさしぶりの

070824_01ひさしぶりに風呂にはいりました。夏場は毎日シャワー。湯舟に浸かることはめったにありません。ここ数日、体調が悪く、今日はダウン寸前でした。湯舟にゆっくり浸かれば、リフレッシュできそうな気がして。ぬるめの湯に、長い時間、浸かってました。開けた窓から、鈴虫の声が聞こえてました。少しいい気分になったところで、あたまのジュークボックスからこんな歌が流れ出しました。
おやまに あめが ふりました
あとから あとから ふってきて
ちょろちょろ おがわが できました
いたずら くまのこ かけてきて
そうっと のぞいて みてました
さかなが いるかと みてました
なんにも いないと くまのこは
おみずを ひとくち のみました
おててで すくって のみました
それでも どこかに いるようで
もいちど のぞいて みてました
さかなを まちまち みてました
なかなか やまない あめでした
かさでも かぶって いましょうと
あたまに はっぱを のせました

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なにかに疲れている。
それはなにか。
それはモヤモヤして、はっきりしない。
鳥はなぜ飛べるのか。
空気は、あいまいで、つかみようが無い。
そのあいまいな空を、思うままに飛ぶ鳥。

あたまはトコロテン

070821_01よほど疲れていたらしく、昨夜から今朝にかけて、11時間も眠ってしまった。朝になっても、眠った頭はなかなか起きなくて、解凍するのにものすごく時間がかかった。からだはオートマチックに動くのだけど、言葉がうまくいかない。そんな状態でカメラを覗いたら、ふだん見慣れたものが不思議なくらい輝いて見えた。

アイロン

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人のことなど何も考えないぼくだったが、人のことが人一倍気になる妹による有無を言わせぬ指令により、市内で一人暮らしをしている伯母の家を訪ねることになった。妹いわく、伯母の家の中は言葉を失うほどの恐るべき状態なのだという。妹は普段、その状態を形容するのに声の強弱をも最大限利用するが、今回は目の前のぼくに、10メートル先にいる耳の悪い人に訴えるのに等しい音量で語った。その内容は早い話
「私の手に負えない部分がある、アニキも行って掃除して来い!」
82歳の伯母は近年脚を悪くし、重いものを持てなくなったらしい。
「パーッと済まして天文館でシロクマを食おうぜ」
ぼくは同行のヨッパライ某にそう提案すると、ピクニックにでも出かけるような軽い足取りで現場に向かった。
 中略
最後のゴミ袋を玄関先に出したとき、時計は4時を回ろうとしていた。空はいつの間にか雨雲が低く垂れ込め、短い間隔で雷鳴が轟いている。疲れていた。昼食もとっていない。空腹のピークはとっくに過ぎ、ただ、ひたすらシャワーを浴びたかった。
 中略
シャワーを浴びたぼくは、屋上のテーブルで200円のシロクマをしゃくっている。もちろん、いつものようにラムをたっぷりかけて。
夕焼けが赤い。夕焼けが赤い。
切り絵になった山の端から広がる夕焼けを背景に、そんな言葉がリフレインしていた。やれやれ、またひとつヒューズが飛んだようだ。
叔母の部屋の掃除をしていると、ガラクタに混じって古いアイロンが出てきた。彼女は洋裁のプロだったので、プロ用の道具をいろいろ持っている。
「これ頂戴」
ぼくはアイロンをもらった。
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