少年

休み明けの朝。
「仕事なんか、つまんないから行きたくない」
と、ぼくの中の少年Aがすねる。
少年Aは、虫取りが大好きだ。
捕虫網と虫かごを持って山に出かけたい。
ぼくは少年Aをムシして、仕事カバンを車に載せ、エンジンをかける。
最初の交差点を曲がる頃には少年Aは消えてしまう。
こうして休み明けの一日が始まる。

雨のMonday

今日は月曜。定休日。
午後から雨が降るとの予報。確かに空は曇りはじめていた。
指宿の某温泉の外湯にのんびり浸かり、雨に打たれながら鼻歌でも歌おう、と計画した。フラワーパークに着いたのが12時35分。開聞岳はねずみ色の笠をかぶって憂鬱そう。満開のチューリップ畑を歩きながらレストランに向かう。色とりどりのチューリップがぼくに微笑む。まるでオランダにいる気分だ。行ったことはないけど。レストランでペンネの大盛りを食べながら雨が降り出すのを待った。しかし、雨は降りそうで降らない。優柔不断な空だ。結局2時を過ぎても雨は降らなかった。今日の計画は失敗に終わった。

motivation

Beer01やっと体調が戻ってきた。
と、いうわけで、試しにビールを飲んでみた。
どうも、おいしくない。
マズイな、と思うのは、ビールがまずい、ことじゃなく、ビールを飲みたい!という気分にならないこと。

冬みかん

みかんの皮がダブダブになって、味もブヨブヨになってきた。
みかんの季節は終わったらしい。
限られた間にしか手に入らないものがある。
そういうものは目に見えて愛おしい。
冬のみかんは器用だから愛される。
不器用なみかんは愛されない。
いつでも手に入るものは愛されない。
愛するものは手に入らない。

トイレ

Photo_14トイレは、なぜかとても愛着のわく場所である。そこには鍵のかかる秘密の扉があって、神聖な場所へといざなう不思議な気配が漂っている。と、いうのは、ぼくの勝手なトイレ観?である。そんなわけで、店のトイレにはミュシャのポスターを配した。ミュシャの絵には明るくも暗くもない陰翳を含んだ独特のムードがあるが、なぜかぼくには20ワット白熱電燈のともったトイレのイメージがダブるのである(笑)
いつかお金がたまったら、自宅のトイレ、洗面所、風呂、この三つを本格的なアールヌーボー調に仕立て、ミュシャの絵を飾りたい、と思っている。

デスクトップ

Photo_13夕焼けの海。赤紫の空に向かってヤシが大きな葉っぱを広げている。どこか南の島かもしれない。この壁紙、windowsに入ってたのをそのまま使ってます。なんにも張ってない人って、いるのかしら。

スコップ

また変なこと書いてると思われても仕方がない。
ぼくは穴を掘るのがとてもうまい。
わざわざ日記にこんなことを書く理由は、備忘として残しておこうと思ったためである。忘れかけていたのだ。「ぼくは穴を掘るのが好きで、とても上手かった」ことを。
そうだ、ぼくは長いこと穴を掘ってない。
智恵子は東京には空がないという。しかし、地面だってほとんど見あたらない。たとえ小さな地面を見つけても、穴を掘ると不審者として通報される。小学生だった頃、ぼくの宝物はスコップだった。日曜日は日の出を待って、スコップとロープを持って山に出かけた。地面に穴を掘って、地下秘密基地を作るためだった。その高い技術は後にアルバイトで確認された。土木工事の現場監督に絶賛されたのである。ストラディバリが演奏者を操るように、ぼくはスコップの傀儡となって無心に穴を掘った。別の言い方をすれば、穴を掘ることでぼくは無心になれた。ここまで書いて思い当たった。地面に限らない。「すべての山を登れ」と、某修道院長が歌ったように、今もぼくはいたるところに穴を掘り続けている。

松竹梅

常連の奥様との会話。
今年の抱負から始まった話がこんな風になった。
「ところであなた、松竹梅の意味、ご存知?」
「知りません」
「嫁ぐ時の心構えなんですよ、松はね、根を横に広げてしっかり張る」
「なるほど」
「竹は、節目節目を大切にする」
「なんとなくわかります」
「梅は冬をじっと耐え、だれよりも早く目覚めて花を咲かす。太陽のように家庭を明るく照らすんです」
「女の人って大変ですね、楽しいことなんかなさそう。男でよかったな」
「そう。ところであなた、熟年離婚って、ご存知?」
今日もまた話は変なほうに向かっていく。

ウサギの穴

Photo_6わが家は街から外れているので、休日の朝はとても静かだ。この自然な静けさを楽しんでいると、近所から掃除機の爆音が響いてくる。音源は水をフィルターにしたアメリカ製クリーナー。20万近くする弩級掃除機だ。車でいえばV8エンジン搭載のキャデラック。男がフェラリの排気音にシビレるように、主婦たちも舶来クリーナーの爆音にシビレている。のかもしれない。
ところで、掃除機は壁のコンセントから100Vをもらって作動する。コンセントは、穴が二つ開いているだけの単純明快な装置。しかし、これはアリスの世界に通じる不思議の穴なのである。この穴をちょっといじるだけで、爆音掃除機が俄かにオルフェウスの竪琴よろしく天上の音楽を奏でるようになる。というのは冗談であるが、このコンセント、オーディオの世界では深い謎を秘めた枢要な装置であることは今や常識。というわけで、ドライブに行けなかった今日、ぼくはコンセントの改造を始めた。もちろん、音楽を美しく聴くためであって、掃除機はマッタク関係ない。オーディオ専用に配線してあるので専用ブレーカーを落とすだけで工事に臨める。小1時間で作業終了。驚くべき音の変化だった。一般に、思い込みによって音は美しくなる。これを偽薬効果(プラシーボ)という。
さて、夜が来た。いつものように映画を鑑賞することにする。耳を頼りにアンプのボリュームを一番快適なところにセット。ここで、改造結果がプラシーボ効果でなかったことを目で確認。ボリューム位置がいつもより5db上がっている。これは音量を上げてもうるさくないということ。簡単に言うと、音が良くなっている。
うるさい装置にお悩みの殿方、アナの掃除を試してみては。

初ピーマンデー

あしたは休みだ、うれしいな~っ!
そう、わが店の定休日は月曜日。
しかし今夜は、いつもより21%ほど、喜びが薄い。
なぜか。
答え 明日が祭日だから。
ふつう、日曜日の夜、ぼくの顔は自然と緩む。
「サラリーマン諸君、テレビなんか見てないで早く寝たまえ、明日は仕事だぜ、いひひ」
ささやかな優越感に浸っているのだった。暗い…
平日は、どこに出かけても人出が少ない。
例えば当ブログでも話題になった、人気の某温泉だって空いている。
ああ、それなのに。
もし明日が祭日でなかったら、この温泉に行っただろう。
そういえば、友達夫婦も嘆いていたっけ。
「これまで体育の日が結婚記念日だったのに」
月曜日に祭日を移行するなんて、ピーマンの考えそうなことだ。