午後4時の空

外で本を読んでいたら、風が出てきて、あたりは急に暗くなった。見上げると、いつの間にか暗い雲が空をおおっている。風が運んでくる雨の匂いは悪くないのだけど、暗くて文字が見づらい。ぼくは本を閉じて店に戻った。

ぬるい風呂

昨夜は長い時間、風呂に浸かっていた。1時間半くらい。人の体は水に溶けないことになっているが、ぼくは心配だ。たまに、髪を洗っている手を止め、指の先をじっと見つめている。溶けてないかチェックしているのだ。考えているのは自分だと思うしかないのだけど、体というやつがどうにも信用できない。ただ、あるがままに信じるしかない。疑い深い性格は、自分に与えられた体も疑っている。人間以外の生物を観察していると、彼らは遍く天の命ずるまま、無条件的な秩序に従っているように見える。人の体もそうだ。生物としての肉体は動物と同じく、天の命に従ってる。そこに、心が宿る。おかしい。変だ。納得がいかない。と、疑い深いぼくは思い、悩んで長風呂になる。

夜のガスパール

ここ数日、何か変だと感じているのだけど、それが何なのか分からない。明らかに何かがいつもと違う。睡眠時間は、いつもどおり6時間前後。熟睡している、と思う。それなのに疲れ方がひどい。変な話だが、時々幽霊が見える。幻覚なのだろうけど、はっきり見えるので、現れたときはびっくりする。たぶん、あと何日かすれば元に戻ると思う。

変わらない海

070226
ぼくは晴れた日のドライブが好きだから、休日の天気をネットの週間予報でマメにチェックしている。昨日は定休日。予報は二日前の時点で快晴を表明しており、ぼくは、こづかいをもらった子供のように素直に喜んでいた。しかし、前日の夕方になって予報は一転し、明るい太陽の絵柄に代わって、大きく開いた傘マークが躍り出た。ぼくは失望した。しかし、ただで与えられたものはいずれ取り去られる。子供なりのわきまえが、ぼくを静かなあきらめに誘った。ところが予報は再び翻る。当日の朝になって、予報は晴れのち一時雨を宣言。さすがにうんざりした。素直な少年の心はこうしてねじけ、やがて人間不信に陥っていく。のかもしれなかった。ぼくは、「もう天気なんか、どうでもいいや」的気分のまま車のキーをひねった。
三月を前に、日差しは思いのほか強い。確実に冬は終わった。そう思ったとたん、明るい車中に名状しがたい動物的予感と期待が渦を巻いてあふれかえった。ぼくは窓を半開きにして海岸線を走った。砂浜に立ち、何も考えず、ぼんやりと海を眺めていた。変わっていくぼくのなかの変わらない何かと海。

渡良瀬

豆腐をはじめ、大豆を使った食べ物が好きだ。最近は煎り大豆にハマり、毎日、かなりの量を食べている。大豆は健康食品だから、いくら食べても良いと思っていたのだが、念のため調べてみると、女性ホルモンと同じ働きをする成分が含まれているのだそうだ。そういえば思い当たるフシがある。最近、不思議と女性の気持ちが理解できるようになった気がするのだ。うふ(はぁと)

雨の日

きのうより今日は不幸な感じがする。
なぜだろう。
きのうは晴れていたのに今日は雨が降って肌寒い。
たぶん、これが一つ。
きのうは冷蔵庫をあけると手作りのシュークリーム2個、アップルパイ4切れ、クッキーが2個入っていたのに、今日はない。
これで二つ。
不幸が来たのではなく、幸せが減ったらしい。

ねじ

ねじ巻き式の時計が音もなく止まるように、いつの間にかぼくも止まっている。人生のドライブ感が、ふっと消えてしまう。仕事にはあまり影響ないが、やはり困る。実は、昨夜からそうなのだ。とりあえず酒を飲み、本をめくり、写真を眺め、苦い珈琲や音楽を利用して必死にねじを巻こうとしている。ねじ巻き人に会えば済む話しなのだが、会いたくて会えるものでもない。

花びらの白い色は

天気が良かったので、屋上の掃除を始めた。
暖かいので、綿パンにTシャツ一枚。
ほうきと、ちり取りを持って、気分は初夏。
隣の庭に白い花が咲いている。
白い花。
白い花。
たくさんの白い花。
掃除をしながら、いつのまにかこんな歌を口ずさんでいた。