ズボンを洗濯しようとしたら、尻の部分が破れかけていたので新しいズボンを買いにでかけた。試着したところ、すその補正は不要であった。一本3000円、二本で5000円だという。悩んだ末、同じズボンを二本買ってしまった。ズボンを買ったその足で、ぼくは南に向かった。1時間弱で指宿の某家族湯に到着。一人で家族湯を利用する人はいるだろうか。背中に唐獅子牡丹をペイントしてるわけでもなく。ぼくが家族湯を利用する理由はほかでもない、湯をぬるくすることができるから。ぼくは熱い風呂が嫌いだ。むかし、銭湯の湯が熱かったので、水をじゃんじゃん入れていたら、偏屈なオヤジにドえらく叱られた。それがトラウマになって、ぼくは銭湯に行かなくなってしまった。家族湯に一人きり。湯舟に浸かって空を見ると、ずいぶん高いところでトンビが輪を描いている。いい気分だった。ふいに、木塀を隔てた隣の湯から声がしはじめた。若い女性が二人入ってきた模様である。二人で盛んにしゃべっている。ぼくは塀の隙間から覗いてみたが、向こうは見えない仕掛けになっていた。ぼくは彼女等の声を聞き流しながら、ゆったりと湯舟でくつろいでいた。すると、女性二人の会話に突如、若い男の声が加わった。ぼくは仰天した。いったい隣は、どんな家族なんだろう。温泉を出て、池田湖を見下ろす静かな公園に車を走らせた。ポットに詰めてきた熱い珈琲を飲みながら、沈んでいく夕日を眺めていた。心に散らばってしまった様々な事柄が、一つ一つ所定の位置に納まっていく。ところで、今日の目的は、フラワーパークのイルミネーションを見ることなのだった。太陽が沈み、あたりが暗くなると、ぼくはまた車を走らせた。開聞岳の麓を走りぬけ、左カーブを曲がり、フラワーパークの入り口にさしかかった…と思ったら、門にロープが張ってある。なんと、閉館していた。イルミネーションは土日だけなのだろうか。ぼくは死ぬほどがっかりした。ぼくは最近、よく死ぬ。しかたなく、指宿休暇村の防波堤に座って、ぼんやり月を眺めていた。風が死ぬほど冷たかった。
微熱少年モード終了
人生いろいろあって、ぼくはそれぞれの状況に適応するモードを選んで自分を変化させているわけだけど、とりわけ気に入ってるのが「微熱少年モード」
ぼくの中の微熱少年は、たとえば心にダメージを受けると、それを独自の美学を駆使して変換し、芸術の域にまで昇華させる努力をする。現実はみっともない状況であっても、それをまるでフランス印象派の絵のごとく、原色の粒子を星のようにちりばめて表現しようとする。たとえば、描こうとする絵の中をニワトリがひょこひょこ歩いていると、それを白く輝く白鳥に変換して配置する。そのあたりをヌケヌケとやって涼しい顔をしてるのが、ぼくの中の微熱少年なのです。
あと2~3日続けたかったのですが「そんなもん、さっさとやめなさい」と声がかかったので、やめます。
湯気
店の暖房を入れた。
この冬初めて。
ぼくは寒さがあまり分からないのだけど、今日はどうも寒いような気がする。
お客さんに聞いてみた。
「店の中、寒くないですか?」
「寒いですね」即答だった。
すぐに暖房を入れた。
冬だ。
いれたコーヒーから白い湯気が立ち昇る。
あたたかさが恋しくなる季節。
北風
寒いな
コートをどこかに置いてきてしまった
だけど風、止まないでくれ
話す相手が欲しいから
君はいつも一人
わかるだろう?
話し相手になってくれ
あの海へ
今度の休みは、海に行こう
砂浜に座って、波の音を聞こう
つかれた君を休ませてあげる
ゆっくりとだけど、安らぎはきっとくる
伝わりますか
言葉の向こうにあるものが分かった時、それを人にどう伝えればいいのだろう。
どうしたら伝わるだろうか。
いつか無言で分かち合えると信じて待てばいいのか。
その時間は無駄に終わらないだろうか。
ぼくは性急過ぎるだろうか。
朝刊の音
オレって何だろう。
ベッドの中で、ずっと考えてた。
外でバイクの音がし始めた。朝だ。
やれやれ、一睡もできなかった。
フッ、案外、オレも若いね。
白いケータイ
日曜日の太陽
朝から雨が降っている。
雨の日曜日。
いつも心に太陽を、という歌があったような気がする。
ぼくの心の太陽は、けっこうさぼりがちだ。
人の太陽はあてにならない。あてになどしない。
さぼってないで、ちゃんと照らせ、ぼくの太陽。
ぼくの愛した数式
ある数式に没頭中なのでありますが。
はたして解は導かれるのか。
ああ矛盾。ああ、無情。