
空は今日も泣いていた。ぼくはポケットに1000円つっこみ、車のキーをひねった。車は曲がりくねった坂を登り続け、やがて雲の中のドライブインに着いた。ぼくは傘を差して吊橋に向かった。

橋の下の谷にはアジサイが群生している。吊橋の中ほどから見下ろすと、アジサイはちょうど満開のようであった。傘を肩に載せて写真を撮っていると、俄かに風が吹き渡って、ぼくの傘を舞い上げた。傘はくるくる回りながら飛んでいって、谷の斜面に引っかかった。先日買ったばかりのビニール傘。

ぼくはだれもいないのを確かめ、土手を下って傘を取りに行った。もちろん、道などない。するとどこからか男の声がした。
「命と傘と、どちらが大事か!」

見ると、おそらく観光で来たと思われる恰幅のよい初老の紳士がこちらを見おろしている。ぼくにしてみれば、これくらいのことは茶飯事なので、ずいぶん大げさな、と思ったが、なんとなくうれしくて、
「ええ、十分に気をつけますから」と手を振った。

彼はこちらを見つめたまま「気をつけるんだよ」と言い、
「これはあれだな、麦藁帽子の」と笑った。
「ええ、西条八十のあれですね」とぼくは応じた。
無事、ビニール傘を取り戻し、ぼくは帰路に就いた。

途中、家の近くの某運動公園に寄ってみたら、某博覧会の後片付けをやっていた。

アイ スクリーム
土砂降りの雨の中を
空に浮かぶ水の粒
雨水貯留装置始動
もうねます
修理から返ってきたレンズで遊んでいたらもうこんな時間。なんかオレの人生って無駄だらけ。時々悲しくなる。ビール飲んで寝よ
BWV639
バッハのBWV639。昨夜見た映画の主題に使われていた。
久しぶりに聞いて、映画のせいなのかもしれないが、ひどく奇妙な気分になった。
海の底に沈んでいた記憶が水面に浮かび上がってくるような。
思い出しそうで思い出せない、手が届きそうで届かない。
白いトラ

午後から雨らしい。雨のドライブも悪くないけれど、目的地に着いたとたん、ざあーっ、というのはちょっと悲しい。そんなわけで、近くの某動物園に行ってみることにした。

うわさによれば、某動物園に白いトラが来たという。あまり興味はないけど、とりあえず見てみた。驚いたのは、月曜日だというのに人が多い。こんなに人の多い某動物園は初めてだ。

トラの次は大きな鳥カゴだった。カゴの中の細い道を下っていくと、薄暗い小屋に怪しげなショーケースが置いてある。一番大きなのがダチョウの卵で、となりの黒っぽいのがウサギの卵。
というのはウソです。

ショウブの花が一面に咲いていた。ティッシュのような花びらが雨にぬれて今にも破れそう。

帰る前にもう一度トラを見に行った。疲れたらしく、寝てた。

帰りに某ホームセンターによって、バジルを購入。これがないと、夏が楽しくないのです。
黒白鳥
久しぶりに映画を見に行ってきた。ブラック・スワン。ナタリーポートマン、よかったな~。お上手。目は口ほどにものを言う、っていうけれど、彼女の眉毛ときたら口以上に演技してるじゃない。ストーリーもなかなかぼく好み。酒やチーズが醗酵によって複雑な大人の味になるように、人間も一度腐敗、堕落をくぐることで、一段と深い味わいを醸しだすようになるのかも。腐りっぱなしじゃ話にならんけど。あ、この映画の主人公がそうだといってるんじゃなく、彼女を見ててふとそんな事を思ったのでした。この映画の場合、醗酵というよりイニシエーション的要素が強いですね。脱皮みたいな。






