おととい、山に行った。低い木の枝に、セミの抜け殻をみつけた。レンズを向けてみたけど、初夏に見た抜け殻とは、なにか違ってた。その抜け殻は本当に死んでいた。本当の抜け殻になっていた。
ためいき
クロガネ
秋ざれ
金曜日の男
第三の男という映画があったが、どんな内容だったか忘れてしまった。金曜日の男、という映画を知っているだろうか。ぼくははまだ見たことがない。たぶん、そんな映画はない。今日取り上げた金曜日の男、は映画ではなく、川辺町の某豆腐屋の異名である。これはぼくが勝手につけた名前で、この豆腐屋が必ず金曜日に来るのでそうなった。ぼくは彼の豆腐しか食べないことにしている。と、いいたいが、そんなことはない。彼の豆腐が近くで売っていないから、しょうがない。しかし、彼の作った豆腐がうまいことは事実である。今日も5丁買ってしまった。
秋の気配です
夜のレモングラス
雨の中の星空
パソコンの白い画面を見つめていた。
何時間も。
ぼくのなにかが止まったので、
動き出すのを辛抱強く待っていたが、
待つのに飽きて、外に出た。
外は冷たい雨が降っている。
雨にぬれているぼくを虫の声が取り囲む。
目をつむり、耳を澄ますと、
音のひとつひとつが輝きはじめ、満天の星になった。
たまには家にいることもある
休日はドライブに行くことが多いので、家にいることがあまりない。たまには家と庭の手入れでもしようと思い、今日は家にいた。朝一番で一階のスチール棚の棚板の移動を行い、次に、屋上のコンセントが壊れていたので、新しいのを買いにホームセンターに出かけた。取替え作業が終わると、庭に出てサボテンの植え付けをした。これは先月、鷹師店のお隣さんからいただいたもの。ついでにプランターに生えまくっていたウチワサボテンもプランターから出して庭に植えた。そのプランターに新しい土を入れ、ネギの種をまいた。そのとき時計は3時を指していたのでアイスキャンデーを食った。疲れた。
今日は、空気がさらりとしている。秋だ。時間が余ったので、庭の植物の写真を撮った。おしまい。
人生の8分の2は泡である
人生の8分の2は泡だ、などというと、
「8分の2? やだなー、それって4分の1と同じじゃないですか」
と言い返す小賢しい輩がきっといる。
今夜は、いつもお世話になっている陶工房fooのご主人と奥様をお招きし、自宅の屋上でバーベキューを行った。夜風が涼しい満天の星の下、まずは乾杯。ぼくはいつものようにキリンビールサーバーで、雪のような泡をのせたビールを次々に注いでいった。
そしてぼくは、もったいぶって宣言した。
「人生の3分の1はアワである!」
わけのわからない文句であるが、なんとなく由緒ある名言のように聞こえるから不思議だ。
炭火で焼く鳥刺しはとてもうまい。ジョッキもすぐに空になる。
ぼくはビールを注ぎながら
「人生の5分の2はアワである!」
と、再び宣巻いた。すると、fooのご主人が
「人生の8分の2は泡である!」
と応じた。
「ふっ、そりゃ4分の1と同じじゃないですか」
ぼくは首をひねった。だが、8分の2と4分の1は明らかに違うのである。8人の女と付き合って2人にふられるのと4人と付き合って1人にふられるのが異なるように。ぼくはいつも、つい余計なことを口走る。言わずにいられないこの性格には、われながら閉口する。そう、この文章も然り。余計なのだ。水をかき回すようなもので、泡が立つだけのこと。