ぼくの車にはナビが付いてないし、地図も積んでない。そんなふうだから、山の中などでよく迷う。今日も迷った。やっと目的地の近くに着き、車をとめて歩き始めた。ヨッパライ某が、こっちだよ、と言って、ずんずん歩いていくので、ついて行くと、なんだか様子がおかしい。いつまでたっても着かない。たどり着いたのは崖で、そこで道は消えていた。写真は、そこから引き返してくるヨッパライ某。そして、そこからの帰り道、また迷った。
紅葉のじゅうたん
ドライブ日和
今日
きみの時間
風に揺れるススキ
風に揺れるススキを見ようと、えびの高原に出かけてみた。行ってみると、確かにススキは風に揺れていたが、まだまだ二分咲き、といったところだった。
ヨッパライ某が腹が減ったというのでソバ屋に行った。窓際に髪を短く切った男がジョッキにビールを注いでいる写真があったので、これはもしかしてイチローか?とヨッパイ某にきくと、そうだ、という。ぼくは納得がいかず、これは合成で顔だけイチローじゃないのか、というと、テレビでもこんなふうにビールを注いでいるよ、といった。
続けてぼくはきいた。イチローは、なにイチローなの?苗字はないのか? するとヨッパライ某は、え?苗字って…そうだよね、ただのイチローじゃないよね。なんだろう、と考え始めた。
結局分からず、母親に電話してきいた。すると鈴木であることが判明した。ぼくはそれを聞いて笑った。イチローの親はオレよりひでえな。鈴木イチローだなんて、山田タロー並みじゃないか。
夕食はぼくの発案により、ソーメンであった。食事をしながら、昼は何を食べたの?と娘がきいた。ソバだというと、昼にソバを食べて夜にソーメンというのはおかしい、と主張した。確かにそうだな、とぼくは思った。食事が終わるころ、突然ヨッパライ某が得意になっていった。イチローの苗字知ってる?すると娘は言った。オオタ!オオタ・イチロー。ここはなんだか異次元のような家だな、と思った。
あの山を越えて
バイバイ夏
A LONG VACATION 3日目
ひまわりをめぐる冒険
だれかに呼ばれた気がして目が覚めた。ぼくはズボンとシャツを急いで着ると声のしたほうに向かって車を走らせた。
ぼくを呼んでいたのはビンセントだった。彼は困ったような顔をして言った。どうしてもっと早く来なかったんだ。わしはもうすっかり疲れてしまって、君に何を言うんだったか忘れちまった。とにかくとても重要なメッセージだったんだが。ビンセントは長い冬を前にした年老いたクマのような目になって言った。夏が終わりかけているせいかもしれない。そう、わるいことをしたね、じゃあ、ぼくは帰るよ。車に戻ろうとすると、ビンセントはあわてて言った。待ってくれ、彼女なら知っているかも知れん。
ぼくは南に向かった。車は入道雲の湧きあがる海岸道路を走り続けた。ビンセントによれば、南の植物園に棲んでいるプラドレッドなら知っているだろう、とのこと。ヒマワリ畑は園の奥にあった。風と波の音が入り混じって渦を巻き、不思議な雰囲気をかもし出している。そこに何種類ものヒマワリが一面に咲いている。
木人の親子がいたので、プラドレッドはどこにいるか聞いてみた。しかし、彼らとはまるで言葉が通じなかった。
畑の海側のほうに、見たことのない赤いヒマワリが咲いていた。彼女がプラドレッドなのだろうか。
つづく かも