空は晴れていた。
風もほとんどなかった。
なぁーぁーんも、したくない一日だった。
パンとコロッケを買ってきて、屋上でのんびり昼食をとった。
とても穏やかな一日。ノーミソは仕事を忘れて休止中。
ラジカセから流れるボサノバは、右の耳から左の耳に抜けてゆく。
地球は、ぼくとテーブルと、パンとコロッケとコーヒーを載せたまま、時速10万kmで太陽の周りを回っている。
ふと、ぼくは秒速3センチで顔を上げ、空に飛行機雲があるのを発見した。
迷う
こんな女がいたら、さぞや迷うだろうな、と思わせる、そんな酒を飲んでみたい。と、酒好きだった某作家が書いていた。
なにを迷うのか、そこまでは書いてない。見当はつくけど。
ともあれ、迷うシーンが少ない人生は少々さびしいかもね。
シクラメンのかほり
南の島
無性に海で泳ぎたくなった。まだ水は冷たいだろうな~。
アンテナ
今これを読んでいるあなたもそう感じることがあるのかもしれない。そう思いたくて書いてます。自分が急に変わってしまったことに気づくことはないですか?
昨年末、冬至が来たころ、自分が別人になったような感覚があったのですが、数日前、再びそれが起きました。なにが変わったのか。「自分の感受性くらい」という茨木のり子さんの詩を読んで気づきました。感受性が変わったのです。冬至の頃、ぼくの機能のうちの、なにがそれを必要としたのか、アンテナが一本、中空に伸びました。そして、つい数日前、それは引っ込み、かわりに別のアンテナが立ちました。奇妙な表現ですが、そういう感じなのです。変な人と思われるかもしれませんが、しかたありません。自分の体は自分でコントロールしていると思いたい気持ちはわかります。
いそしぎ
空が明るい。どうやら冬も終わったようだ。ほっとする。
この冬は何事もなかった。no problem.
頭の中の具合がずいぶんちがう。
この前まで、満ちた潮が飽きもせず堤防を洗っていた。
今は潮が引いて、砂浜ではイソシギが遊んでいる。
花はどこへいった
さっき読んだ本に、日本の女は結婚したとたん堕落する、女でなくなる、と、書いてありました。女は放っておけば中年にならなくたって居直ったオバハンになっちまう。とも。
ふ~ん、そうかな。
ぼくは珈琲を飲みながら、しばし思い巡らしてみました。
これは女性にとっての不幸ではなく、男の悲運を嘆いてるわけですね。もっとも、女としての魅力を失うことで男に愛されなくなれば、それは女にとっても不幸かもしれない。
安心した人間からは魅力、色気なんて出てこないんだそうです。
結婚は(本人は気づかなくとも)根本的に女性を安心させるものなのでしょうか。
フロントグラス
長い坂道
第三日曜日で休み。お昼過ぎ、Nさんちに遊びに行った。Nさんちは、ぼくの家から見ると南に位置している。これはどういうことかというと、地球儀を見ればすぐわかることだが、下のほうにあるということである。下にあるということは、下り坂をチャリンコで降りるような気分で行けるということだ。物理的には間違っているかもしれないが、心理学的にはそうなっていると思う。少なくとも、ぼくにはそうだ。高速道路で行くと近いのだけど、山道を選んで二倍くらいの距離をかけて辿り着いた。これも大事なことである。住宅を設計している人なら理解しやすい。ファサードに属するアプローチ設計の問題だ。いや、もっと簡単に言うと、東京に行くのに飛行機を選ぶか夜行列車を選ぶかの問題である。飛行機を選ぶと、体が東京に着いても、心はまだ広島あたりをぐずぐずしていたりする。少なくとも、ぼくはそうだ。心と体がひとつになって、N邸に到着。ここまで辿り着くのにずいぶん紙面を浪費してしまった。というわけで、
中略
内容の濃い、芳しく(シンナーが)有意義な一日であったと思う。
ボタン
ズボンのボタンが取れた。
いつもなら家人にお願いするのだが、ひまがあったので自分で付けることにした。
何年ぶりだろう。
結婚して以来、一度もやった覚えがない。
とにかく始めてみた。
糸を通すのにずいぶん難儀した。
針の穴って、こんなに小さかったっけ。
やり始めたら、手が憶えていた。
完成。
やりかたに間違いがなかったかネットで調べたら少し違っていた。