暗い穴を覗き込む猫

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わが家の猫もそうだけど、猫という生き物は、穴を見つけると必ず覗き込む。そして中に入っていく。出口があろうがなかろうが。
今読んでいる小説の後ろのほうで、春樹さんは登場人物に次のように語らせている。
秘密を知ったところで、それはおれをどこにも連れて行かないかもしれない。それでもやはり、なぜそれが自分をどこにも連れて行かないのか、その理由を知らなくてはならない。その理由を正しく知ることによって、おれはひょっとしたらどこかに行くことができるかもしれない。
春樹さんが小説を書く理由はコレだろう。
形にならない穴を形にして覗き込む男。

“暗い穴を覗き込む猫” への4件の返信

  1. こんばんは。
    そうですか。
    多分3を読むと思いますが、全作品は効果として用いているのかは?ですが、性描写が多い印象が残って「複雑な問題」がさらに複雑に感じられたのでまだ心が求めていないかも・・・。
    我が家の犬どもは、ベッドの上で穴を掘るしぐさでベッドカバーをめちゃくちゃに丸めると落ち着くようです(笑)それましたね。[E:dog]

  2. 別な角度から春樹さんの作品を眺めてみると、それは説明的でない絵画から受ける印象に似ています。ドストエフスキーのカラマーゾフの兄弟を読んでそこに感じたことが、彼の作品からも感じられます。どちらの作家も、文学作品を一度絵画に変換し、そこから言葉ではない別の言語で読者に語ろうとしている。でも、そうせざるを得なかったんでしょうね。だって、サンテグチュペリが言うように、ほんとうに大切なことは目に見えないんですから。

  3. 貴重なお返事を戴きました。
    一冊の本を半ばまで読んだだけで読んだつもりにはなれませんね。
    という意味で、続編が出れば読まないと私の中でつながっていかないですね。(本音は必ず3が出る~とメディアが報じていた頃から心待ちにしていないでもなかったのかも。(笑))
    http://news.goo.ne.jp/article/php/life/php-20100517-01.html
    [E:pencil]スプーンさんが前もって教えて下さっていたので、茂木氏へのお返事は早々に拝読。

  4. リンク先の斎藤さんのコメントを読んでビックリ! 実はぼくも思ったんですよ。1Q84に登場する大塚環って、斎藤環から取った名前じゃないかなって。春樹さんは時々そんな遊びをしますから。1Q84の世界って、河合隼雄のユング、斎藤環のラカンのニオイがプンプンするんですよね。たぶん、春樹さんは斎藤さんの著作をけっこう読んでいるのだろうと思います。以前、このブログで、1Q84を読んでます、という記事に続けて、それとは関係のなさそうな、明日斎藤環さんの書簡が掲載されますよ、って記事を書いたのですが、それは1Q84で描かれる世界と斎藤環さんの論ずる世界観に多くの相似があると思ったからです。

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