生活のにおい

昨日、午前中にいらしたお客様からこう言われた。
「あなたには生活感がまったくないですね」
初めていらした方で、おそらくぼくより一回り上と思われる、ときおりキラリと光る目が印象的なご婦人だった。それはドミニカ田畑農園コーヒーの由来を説明している最中のことだった。移民政策に興味を持っておられ、事実、ドミニカ問題に詳しかった。要点を無駄なくストレートに話されるのだが、自然な笑顔から程よいテンポで繰り出される言葉は平明で分かりやすく、好感をもたれる話し方の見本のようであった。話の途中で分かったのだが、彼女は長い間教師をされていたとのことだった。
生活感がない、とは、たびたび言われることだし、ぼくは、どちらかといえば良い意味にとらえていた。しかし、この日、ぼくは再び同じ言葉を聞くことになった。「生活感がないですね」。やはり初めていらしたご婦人からだった。ここでぼくは不安になった。その言葉に、
「あなたには大事なものが欠けてますよ」
というニュアンスを感じ取ったからだ。
ぼくは午前中のお客様を思い出した。
「あなたには生活感がまったくないですね」
この「まったく」と強調した部分に、何かしら引っかかるものがあり、気になっていたのだった。今思えばそれは諫める含みがあった気がする。長年教師を勤めていると、相手に明らかな問題点を発見した場合、われ知らず注意を促してしまうのではないだろうか。もちろんそれは相手のためを思ってのことであり、それが人の務めと信じている…いわゆる職業的良心。もしそうだとしたら、ぼくは行動を起こさなければならないだろう。ぼくのためを思って教えてくださったのだから。

“生活のにおい” への4件の返信

  1. マスターである事が生活の全てであるかの如く
    楽しんで仕事されてる姿から、「生活感が無い」
    と言われたのではないでしょうか。
    当然私もスプーンさんに会った事が無い訳ですが
    表情や仕事中の一連の動作まで目に浮かびます。
    イメージと違ってたら珈琲買って帰ります(買わないつもりかよ!)

  2. ああ、なるほど、そのとおりかもしれない。
    ぼくは生活と仕事を区別してない、というより、区別する器用さがないのです。たとえば、ぼくには「お客さま」という特別な概念が希薄で、友だちと変わりなく接してしまうところがあります。このブログにも多くのお客様がいらっしゃっていますが、お客様という感覚はゼロに等しい(笑)。今回のエントリーに書いたお客様に対しても、おそらくぼくは、お客様としてより、一人の女性として接した可能性が高い。なるほど、マスターさんも、たまには鋭いことを言いますね。
    ところで、生活感に深くかかわるのが、男の場合は、妻の存在でしょうが、ぼくは妻に恋人であることを常に求めるので、その危うさというか、緊張感が生活感を打ち消している可能性があります。安定し始めると、わざと壊そうとする意地悪さがぼくにはあります。これはやっぱりB型だからでしょうか。
    なお、ぼくからコーヒーを買っても、マスターさんはお客様扱いされないと思います。ひひひ

  3. スプーンさん、こんばんは。
    少しご挨拶が遅れましたが、「生活の記録」復帰されて
    嬉しいです。 お待ちしてました。
    また楽しみにしてます。
    今回のエントリーを拝見して 話は少し違いますが、
    自分の事を思い出しました。 ウチら夫婦の場合
    「夫婦じゃなくて、まるで友達同士みたいだね。」と周りから
    よく言われます。
    これは 他人様からは
    「仲の良い夫婦だね。」という意味でおっしゃってると
    思うのですが、実のところ そう言われると
    「まだちゃんと夫婦になりきれて無いのかな。」と
    受け取る時があります。
    更に 悪いことには
    「ひょっとして私はカミさんを ちゃんと妻として
    見てないのかな。」と 思ってみたり。
    (もちろん、気持ちは充分そのつもりですけど)
    その言葉を聞く度に 少し反省してます。
    ところで、スプーンさん。
    確かに生活感無いです。(笑) 良い意味で。
    お仕事されている時のイキイキとした感じ、
    好きですけどねー。

  4. なしごれんさんも、夫婦のあり方について真剣に考えてらっしゃるようですね。ぼくは考えすぎて、かえって不自然な生活パターンを作ってしまった嫌いがあります。でも、夫婦というものは、ほうっておくと、自然崩壊するものなんじゃないかとも思ってます。日々努力ですね。辛抱、忍耐、我慢、根気、etc.tec……
    あ、変な風になっちゃった(笑)
    友達同士のような夫婦関係、ステキだと思いますよ。
    ぼくは恋人同士に固執しすぎてますけど。

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