風が吹いているだけ

聞き古したレコードをターンテーブルに載せる。
それは、ずいぶん長い時間、休みなく回り続けた。
いつもと寸分変わらぬ動作で、ぼくは静かに針を降ろす。
スピーカーから、いつもの音楽が流れ出す。
今日は定休日。
ドライブはそのようにして始まった。
冬の海。海に面したレストラン。だれもいない。
ぼくはもう知っているのに。
ぼくは同じことを何度も繰り返す。
何も変わらない。答えは出てしまっている。
同じ箇所を永遠に繰り返す
古いレコード。