旅先の北海道で朝からソフトクリームをなめ回しているF氏のことはこの際どうでもいいのですが、たしかに旅はいいものです。昨日ドライブ先の某レストランで手に取った雑誌に、旅の特集があり、旅について、坂本龍一ほか数名のコメントが載ってました。いくつかおもしろいものがあったので、デジカメを取り出し、コピーしました。写真をクリックすると読める程度に拡大されます。なお、サカモト教授は、京都の寺に籠って粥などを作って暮らすのもひとつの旅だといってました。この法でいけば、テレビを消すのもひとつの旅かもしれませんね。
あ、ぼくはテレビをまったく見ないので、テレビを点けるのが旅かもしれません。
KawaiPat

赤いシロクマ

Kumo_01
空が青い。どことなく秋の気配が漂っている。峠を越え、下りはじめたところでユーミンの「悲しいほどお天気」がかかった。だれもいない海浜公園。ブランコにのった。何年ぶりだろう。空に向かって一生懸命こいだ。簡単な遊具だけど空に向かう感覚は一級品だ。体から抜け出た魂が、青い空に飛んでいく。笠沙恵比寿で昼食をとる予定だった。でも気が変わり、ハンドルを左に切った。丸木浜は閑散としていた。泳ぐ準備をしてきていたのだけど、気分が乗らなかった。開聞山麓のハーブ園で昼食にした。ハイビスカスのシャーベット。あたりまえのように冷たかった。こころは秋の身支度を済ませていた。フラワーパークで珈琲を飲んで家に帰った。屋上でシロクマを食べた。ブランデーをかけすぎたシロクマは赤っぽかった。

カウンター

第三日曜日は、ぼくにとって恐ろしく貴重な休みであるが、きょうは店を開けることにした。しかし、実を言うと、ぼくの仕事は半ば遊びなのである。かもしれない。なぜなら、ほとんどのお客さんがトモダチみたいな感じの人なのだ。とりわけ今日は休日ということもあって、ほとんどのお客さんがトモダチみたいな人だったのだった。ただ、残念なのは、ぼくはカウンターの向こうに行って、いっしょに遊ぶことができないということ。

秋の気配

夏は過ぎ去り、遠く小さくなって、ぼくに手を振る。
来年、また遊ぼう。ぼくも手を振る。
いまぼくは、遊びすぎて宿題をたくさん抱えた子供の気分。

台風の一日

へろへろ台風が、よたよたとワルツを踊りながら北へ移動している。ブンチャッチャーブンチャッチャ。いい気なもんだ。おかげで、店にはだれも来ない。しかたなく、ぼくは本を読む。F氏から借りてる青いハードカバー。「いったい、フランツ・シューベルトはどのような目的を胸に秘めて、かなり長大な、ものによってはいくぶん意味の汲み取りにくい、そしてあまり努力が報われそうにない一群のピアノソナタを書いたのだろう?」
よーし、いいぞ、まずまずの出だしだ。どれ、珈琲でもいれようか。
そんな退屈な一日であった。

ワタリドリ

夕方、日の暮れかけた頃、数ヶ月ぶりに帰ってきたプチ芸術家としばらく話した。彼女は「オモシロイ人」を求めて、日本のあちこちを飛び回っているという。じっくり話を聞いてみると、半端な気持ちで動き回ってないことが良くわかった。小さなこともしっかり考え、深く掘り下げている。考え方が新鮮なので、ぼくも学ぶことが多かった。彼女は自分の感性という羅針盤に従い、不思議な力に押され、また、引かれるように移動する。まるで、ワタリドリのように。来月個展を開くそうだが、遠くて行けそうもない。

正論をぶつヤツ

あるブログを読んでたら、ひどいコメントが投稿されていた。丁寧な文章なのだけど、鋭いとげがあり、第三者のぼくでさえ、読んでいて、いたたまれない気分になった。書いた本人は正論を述べてるつもりなのだろうけど、あまりにも心がない。言いたいことはよくわかる。でも、自己満足に終わっている。相手がどれくらい傷つくか思い遣るゆとりがあれば、書けない文章だ。匿名で一方的に書かれたコメント。なんだかやりきれない。

盆休み三日目

今日で休みも終わり。
帰省していた娘が今日福岡に帰るので、家にいた。10時頃、自動車板金工場をやっている友人が、修理を終えた娘の車を持ってきた。娘は帰省した翌日、信号待ちをしている車に追突したのだ。バンパーは割れ、ボンネットもひん曲がっている。これは安くて10万円コースだ。わざわざ帰省してから追突しなくてもいいのに。
「こんな車じゃ帰れない、笑われる」
と、娘が言うので、自動車板金工場をやっている友人に電話した。
「休み中わりどん、修理しっくれんけ、友達じゃっどが」
訳 「盆休みのところ恐縮だが、親友の頼みを聞いてくれ」
そして三日後の今日、友人は車を持ってきてくれた。トモダチ価格で65,000円。コーヒーを飲んで、いっしょに映画を見た。彼は見かけによらず映画好きなのだ。午前中がつぶれてしまうと午後は何もできない。アイスクリームを食べて、屋上でぼんやりしていた。夕方から映画を見た。F氏から借りていた、ジョニーデップの「ナインス・ゲート」。盛り上がりに欠けるものの、カメラも良く、なかなか楽しめた。

灯台

今日も休み。よく晴れている。昼前、花を持って、墓参りに行った。小さな墓地だけど、とても静かで景色がいい。人影はなかった。石に刻んだ母の年が若すぎて、いつも変な気分になる。ぼくはいつ来ても、二人の子供に何もいわなかった。子供たちも何も聞かない。今日は少しだけ話した。長女は来年二十歳なのだ。
「ここには母の骨がある。それだけだ。ぼくは骨には興味がないけど、これはぼくと母との関係だ。君たちにとっては、おばあちゃんの墓だから、来たい時に来ればいい。強制はしない」
二人は黙って聞いていた。
夜、屋上から海のほうを眺めていたら、彼方で小さな明かりが明滅していた。灯台らしかった。10年以上、この場所から海を眺めていたのに、気づかなかった。

大掃除

060813
きょうから休み。なのだけど、例年通り、店の大掃除。掃除は嫌いじゃないし、接客がないので気分は楽だ。焙煎機自体の分解掃除は数日前に済ませたので、煙突掃除から開始。めったに開けることのない排煙用の窓をあけ、シャツを脱ぐ。外の風が心地よい。アドレナリンを分泌させるためにワグナーのタンホイザー序曲をかけた。音楽があれば、掃除はグンと楽しい作業になる。柄の長い、専用のブラシで煙突の中のススを落とす。掃除をしていると、次々とお客様がいらっしゃる。これも毎年のことだ。残っていた珈琲豆も、午前中にほとんど売切れてしまった。雑巾がけも気持ちよい作業だ。結果が目に見える作業は気分がいい。BGMはワルツをチョイス。ステンレスポットをすべて洗い終わった時、時計は4時を指していた。家に帰り、屋上で夕焼けを眺めながらビールを飲んだ。筋肉痛が心地よかった。