梅雨が明けた。月がないせいか、夜空は星でいっぱいだ。なんて美しいんだろう。煙のように立ち昇った銀河が、射手座、白鳥座、カシオペアへと流れ、カシオペアの西には、水を湛えた巨大なひしゃくが横たわっている。ひしゃくは、ぼくに水を差し出してくれた。
ありがとう、ぼくは元気です。
宇宙は無音だけど、物語の声は絶え間なく聞こえてくる。
ぼくは今夜、その果てしない物語の一部になった。
ビールタイム
どうやら、今度こそ梅雨は明けたようだ。暑い。この部屋は西向きなので、エアコンなしだと日が沈んでも30度近くある。ビールを飲みながら書きたい衝動に駆られるが、ガマンしている。おかげで、当ブログも最近は平凡に推移している。ような気がする。変な記事を期待している人には申し訳ないと思うが、このほうが当人は楽なのである。というわけで、書き終わったので、今からビールタイム。
エンドルフィンの夏
今日は定休日。休日は早く目が覚める。低血圧なので、しばらくベッドに座ってぼんやりしていた。小さな電球が点るように、スイッチがひとつひとつONになっていく。数分後、ぼくは立ち上がり、カーテンを引いた。空いっぱい、ネズミ色の雲だった。水を500cc飲んだ後、ニンニクと唐辛子を炒め、ペペロンチーノを作って食べた。南の空が気になってしょうがなかった。ふと、遠くに青いものが見えた。それは青空だった。ぼくは急に冷たいアイスモナカが食べたくなった。アイスモナカは加世田の海浜公園で食べるとウマイ。かもしれない。透き通った青空と白い雲。ぼくは、いい気分で山道をとばした。海浜公園を奥に進むと砂浜に出る。草いきれの松林を抜けると美しい渚が広がった。ぼくはつくづく思う。鹿児島はほんとうにいいところだ。海浜公園を後にし、いつもの海辺のレストランに向かった。杜氏の里というだけあって、道に沿って奇妙な街灯が立っている。目的のレストランに着いた。でた。「準備中」。こういうこともタマにある。いや、よくある。ちなみに、定休日は木曜だったはず。
仕方ないので、風車村に向かった。春に行ったとき、このアミューズメントパークの入り口には「当分の間休業します」との看板が立っていた。すばらしく立派なプールもあるし、このまま廃墟化するとは思えなかった。夏になれば、きっと復活しているに違いない、と、その時は思った。村の手前のカーブを曲がったあたりで、うまそうな匂いが車内に流れ込んできた。駐車場に車を止め、石段を駆け上がり、湯気の立ち昇る店の暖簾をくぐった。が、だれもいない。カウンターには珍しい食べ物が何種類も並べられ、いい匂いを放っている。
「金は後で払えばいいさ」
ぼくは大皿に盛られた食い物を片っ端から箸でつかみ取り、夢中になってほおばりはじめた。
空中の川
空中を流れている川はラピュタと同様、厚い雲に隠れて見えないが、今はそれがあふれ、地上に流れだした。
雷雨
ぼくは店を開ける準備を始めた。間もなく10時だというのに、外は夜のように暗い。街灯も目を覚ましてしまった。妙な感じだ。胸騒ぎがする。こういう日には怪しい雰囲気をまとったお客様がやってくる。
イカロスの末裔
臆面もなく日焼けネタは続く。
皮がむけ始めた。科学専門用語で書くとこうだ。
「脱皮」
見よ、ぼくの背中を。この太陽まで飛べそうな見事な翼を。
それではみなさん、さよーなら~
コッペマン
風呂上り、鏡に写った自分の姿にウットリする人も中にはいるだろうが、ぼくは違う。数日前、ぼくは海水浴に行った。炎天下で泳ぎまくった結果、背中が真っ赤に焼けて寝返りもうてない。風呂上り、ふと思い立って鏡の前に立った。目が点になった。そこに映っていたのは、体長1m77cmの巨大なコッペパンだった。体側に沿って、ハッキリ2色に色分けされている。見事である。芸術である。岡本太郎である。ひどい。これじゃあ、カッコワルすぎて彼女とホテルにだっていけやしない(もちろん冗談です)。そう、ぼくには、こういうコミカルなイメージは似合わない。今度の休日、海に行って表側を焼くことにしよう。
いつもの…
常連の奥様から電話があった。
「いつもの豆をいつものように準備しておいてください。今日はいつもと違う方の娘を遣りますから」
いつものお嬢さんは美人である。
とりあえずぼくはBGMを変えた。
ひまわりのオルゴール
風に揺れるひまわり。自分の内にありながら思うに任せないもの。ひまわりのオルゴールを毎日毎日何回も聞いたあのとき。いつだって、風は吹いている。今日もひまわりは揺れている。
S は Summer の S
いつのまにか夜になっていた。呼ばなくても夜はくる。ぼくは風呂から上って屋上で涼んでいる。南の空に大きなSの字が見える。それはさそり座。ぼくには、頭から触手を伸ばしたアメフラシに見える。梅雨は上がったのだろうか。