第三日曜日は休んでいる。
しかし、1月と5月と8月は開けている。
この法則は秘密ではないが、だれにも知られていない。
だが、開けていると、やはり、お客様はいらっしゃる。
第三日曜日のお客様の雰囲気は、何故かハードボイルドタッチだ。
どこか陰のある謎めいた人たち。
第三の男。
雨がやんだら
夏だというのに雨が三日も降り続いている。
ヘミングウェイの短編に三日吹く風というのがある。
そんなわけで、雨も三日降るとドラマになる。
ぼくは急に稲垣潤一の「ドラマチックレイン」が聞きたくなった。
できたら、雨のリグレットも聞きたい。
ともに、セピア色に褪せた遠い過去の物語。
いろんなことがあった。切ないなぁ。
雨はあいかわらず降り続いている。
食切れ
飯は食べない。
手作りの野菜ジュースをコップ一杯飲むだけ。
昼飯もあまり食べない。特に澱粉質はほとんどゼロ。
すると、夕方近くになるとゾンビのようにフラフラになる。
確かに体重は減る一方だ。いまだに減り続けている。
減量を開始して体重は12k以上減った。
減量作戦は成功したのである。が、なんか良くない。
明日から、朝食を摂ることにした。
ドミニカの絵
いいところ
朝一番のお客様、カウンターでコーヒーを試飲しながら、
「おととい、いい所に行って来ました」と、話しはじめた。
「どこです?」
「ハト岬」
「どんな字書くんですか?」
「波戸岬。唐津にあるんです。海水浴場にサザエの壷焼き屋がずらりと並んでて、焼きたて一皿4、5個、500円」
「そりゃいいね」
「イカもうまいですよ、真ん中あたりを刺身で、残りは天ぷらにしてもらうんです。サイコー」
「行こうかな」
「国民宿舎がすぐ裏にあるので、そこに泊まるといいですよ」
「じゃあ、今度行ってみよう」
秋
盆休みが終わった。仕事だ。
5時半起床、朝から豆を焼き続ける。今日は10種類以上焼かねばならない。
豆を焼きながら、いつの間にか「およげ!たいやき君」を口ずさんでいる。サラリーマン時代からの変なクセだ。
焼き終わってコーヒーを飲む。選んだのはモルプレミアム。フルーティーで香ばしい。
あ、秋なんだな、と思った。
盆が過ぎると時の流れは一段と加速する。
あっという間に秋が通り抜け、クリスマスソングが流れ始める。
ESP
盆休み三日目。
今日で休みも終わり。とても悲しい。
最後の夜らしく、屋上でバーベキューをすることにした。
バーベキューなどというと聞こえはいいが、近所の地鶏屋で買った安い鳥刺し、スーパーで買った安い豚のバラ肉、冷蔵庫にいつまでもがんばってる余った野菜などを炭火であぶって食うだけのことである。
しかし、炭火で焼くと何でもうまくなるから不思議だ。
炭の燃え盛る七輪と材料を屋上のテーブルに置き、ビールを注ごうとしたところで大粒の雨が降り出した。
しかし、雨が降ったくらいで気落ちするぼくではない。すぐに作戦変更、屋内に七輪を持ち込み、バーベキューを続行することにした。
が、材料を屋内に運び込んだところで雨がピタリと止んだ。
というわけで、再び屋上で行うことになった。
乾杯を済ませ、いい気分で肉などを焼いていると、またもや雨。
しかし、数滴降っただけで止み、以降、二度と降ることは無かった。
この年になって少しは雨をコントロールできるようになったようだ。
エビ天
大掃除が終わると予定通り松元町の某ソバ屋に行った。
ここのソバに載ってるエビ天はとても大きく、揚げ立てでうまい。
というわけで、ぼくはエビ天ザルの大盛りを頼んだ。
ヨッパライ某は生ビールさえあればソバは何でもいいという感じでエビ天。
娘はエビ天おろしソバ、息子はエビ天ソバ大盛りを注文。
四人でテーブルを囲んでソバをすすっていると、パリーンという大きな音が店内に響いた。
となりのテーブルの誰かが茶碗か何か落としたのだった。
店内は一瞬にして静まり返り、緊張が走った。
その時、店にいたそれぞれの人はどんなことを思ったのだろう。
なぜかぼくの脳裏にはパリーンという破砕音のオシロ波形が浮かんでいた。
大掃除
明日から3日間、お店は休み。
でも、明日は店の大掃除をするので、体は仕事モードのままだ。
いつものパターンで工程を進めると、午前中に煙突掃除と棚の掃除が終わる。
昼飯は買ってきたホカベン。
機械の分解掃除や残りの作業が済すむころ、日が暮れ始める。
大掃除終了後は、いつものように松元IC近くの某ソバ屋に行く。
これが大体8時ころ。
赤とんぼ
あさってからお盆。
盆には物故者が帰ってくる。
赤とんぼに化けて帰ってくるという。
ほのぼのとしたいい話だ。
でも本当だったら困る。