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盆休み三日目。
今日で休みも終わり。とても悲しい。
最後の夜らしく、屋上でバーベキューをすることにした。
バーベキューなどというと聞こえはいいが、近所の地鶏屋で買った安い鳥刺し、スーパーで買った安い豚のバラ肉、冷蔵庫にいつまでもがんばってる余った野菜などを炭火であぶって食うだけのことである。
しかし、炭火で焼くと何でもうまくなるから不思議だ。
炭の燃え盛る七輪と材料を屋上のテーブルに置き、ビールを注ごうとしたところで大粒の雨が降り出した。
しかし、雨が降ったくらいで気落ちするぼくではない。すぐに作戦変更、屋内に七輪を持ち込み、バーベキューを続行することにした。
が、材料を屋内に運び込んだところで雨がピタリと止んだ。
というわけで、再び屋上で行うことになった。
乾杯を済ませ、いい気分で肉などを焼いていると、またもや雨。
しかし、数滴降っただけで止み、以降、二度と降ることは無かった。
この年になって少しは雨をコントロールできるようになったようだ。

エビ天

大掃除が終わると予定通り松元町の某ソバ屋に行った。
ここのソバに載ってるエビ天はとても大きく、揚げ立てでうまい。
というわけで、ぼくはエビ天ザルの大盛りを頼んだ。
ヨッパライ某は生ビールさえあればソバは何でもいいという感じでエビ天。
娘はエビ天おろしソバ、息子はエビ天ソバ大盛りを注文。
四人でテーブルを囲んでソバをすすっていると、パリーンという大きな音が店内に響いた。
となりのテーブルの誰かが茶碗か何か落としたのだった。
店内は一瞬にして静まり返り、緊張が走った。
その時、店にいたそれぞれの人はどんなことを思ったのだろう。
なぜかぼくの脳裏にはパリーンという破砕音のオシロ波形が浮かんでいた。

大掃除

明日から3日間、お店は休み。
でも、明日は店の大掃除をするので、体は仕事モードのままだ。
いつものパターンで工程を進めると、午前中に煙突掃除と棚の掃除が終わる。
昼飯は買ってきたホカベン。
機械の分解掃除や残りの作業が済すむころ、日が暮れ始める。
大掃除終了後は、いつものように松元IC近くの某ソバ屋に行く。
これが大体8時ころ。

赤とんぼ

あさってからお盆。
盆には物故者が帰ってくる。
赤とんぼに化けて帰ってくるという。
ほのぼのとしたいい話だ。
でも本当だったら困る。

男の世界

お盆が近づいてきた。
お盆にはお店の大掃除をする。
珈琲を焙煎する機械も分解し、ススを落とす。
プロ用の機械というのは、とても頑丈に作ってあるので重い。
それを、ヒイヒイ言いながら分解し、スクレーバーとブラシで掃除する。
数年前までは、機械の分解掃除と煙突掃除を一日で済ませていた。
しかし、去年から機械の分解掃除は先にやっている。
暇な時間に、部分ごとに少しずつ分解、掃除、組み立てを終わらせていくのだ。
煙突掃除は服が汚れるので一気に行う。
ねじ回しや、スパナといった工具を使うのだが、なかなか楽しい作業だ。
たぶん、女性には分からない世界だと思う。

日曜日の朝

昨夜飲んだワインのせいで、なかなか起きれない。
8時前だというのにまだベッドの中。ぼくはまだ寝ていたい。
寝室のドアを開けると朝日が差し込む。
そう設計したので、天気のいい朝はそうなる。
ぼくより先に起きた人がドアを開け閉めするたびに、部屋が真昼のようになる。
開いたドアの方で人の声がした。「8時だよ」
ぼく専用の目覚ましは、人の声である。
そういうふうに人生を設計したつもりなので、そうなる。

海日和

午前中は忙しかったが、午後からは猛烈にヒマだった。
あのひと、このひと、そのひと、某新聞社の取材、ポツリ、ポツリ、ポツリ…
数えることができるくらいの人数であった。
外はとってもいいお天気なのだった。ぼくが休みだったら吹上浜で泳いでいるだろう。
つまり、健全な老若男女達はカーステレオにチューブのCDを突っ込んで海に出かけたのである。

スローなブギにしてくれ

もうすぐお盆だ。
夏も終わりが近い。
ぼくの中では始まったばかりの夏なのに。
なんでこんなに時が過ぎるのが早いのだろう。
もう少しスピードを落としてくれないだろうか。

トリップ

家に帰り、屋上に上がって杏仁豆腐にウォッカを入れて食っていた。
変だ。何かがおかしい。不安だ。
日はとっくに落ちて、暗い空をちぎれ雲が流れている。
いつもなら西から東に流れる雲が今日は逆に流れているのだった。
不安の原因はそれだった。
ビデオを逆回しに見ているような感じ。
時間が逆に流れ出したと思った。

おうちに帰ろう

今日はスムースに店じまいが出来たので、早く帰ることが出来た。
黄昏時の道路はどこか非日常的なムードに包まれている。
子供が歩いているが、暗くてその表情は読み取れない。
切絵がうごいているような錯覚を覚える。
家に帰りつく数キロ前にトンネルがあり、そこを抜けると急に気温が下がる。
緩やかな坂を下り、そしてのぼる。やがて幕が上がるように西の空が開ける。
ぼくは宵の明星に向かってアクセルを踏み込んだ。