珈琲豆を焼き終わって、ほっと一息。コーヒーを淹れ、BGMを先日ネットで買った古いアルバムに切り替える。20代前半、繰り返し聞いたビートの効いた音楽。リズムに反応して思わず体が動き出す。ディスコに通っていたあのころが懐かしい。サラリーマンだったころ、パートのオバさんやバアさんたちを引き連れてマハラジャに行ったことがあった。彼女らはグラスに注がれたピンクやブルーの甘い酒を好奇心の赴くまま手当たり次第試していたが、ぼくが目を離したすきにお立ち台によじ登り、それぞれ思い思いの振りでくねくね踊り始めた。本来そこはスラリとした鑑賞系の美女がスポットを浴びて踊るところ。スモークが焚かれ、ミラーボールは相変らず回っていたが、ぼくはすっかり酔いがさめてしまった。彼女らは大変喜んでいたが、店を出たころから次第に青ざめ、何人かは道路にしゃがんでゲーゲー吐き始めた。またとない忘れられない夜になった
地球の修理
スパゲティーを食べて灯台を見た
ひとつだけ
コゲラのドラミング
朝起きて屋上に上がり、ベンチに腰掛けてぼんやりしていると、家の前にある菜園の向こうから、聞きなれない、変な音が聞こえてきた。カエルの声のようにも、鳥の声のようにも聞こえる。ぼくは都会育ちなので、この怪しい声の主を特定することができなかった。ヨッパライ某に言うと、眉をひそめ、カエルじゃないの、という。わが家は川や池などない高台にあるが、アマガエルは棲息していて、雨が近くなると、あちこちでケロケロ鳴き始める。でも、今聞こえるこの声は、かなり太い。沼に棲息するウシガエル級の大物じゃないと、こんな声は出せない。とりあえずICレコーダーに録音し、店で調べることにした。今はyoutubeなどで簡単に調べることができる。で、調べた結果、キツツキが木をつつく音であることが判明。下の音声ファイルを聞いて、すぐにキツツキだとわかる人はあまりいないと思う
Constellation
学生のころ、バイトでコンポーネントステレオを買った。アンプはヤマハ、スピーカーはダイヤトーン、チューナーはトリオ、レコードプレーヤーはソニーだった。ある日、それらの装置を買った店から、今度、オーディオマニアを集めて音楽鑑賞会をするから、好きなレコードをもって店に遊びに来てください、との招待を受けた。当時、ぼくのお気に入りレコードは冨田勲のシンセサイザー音楽、ドビュッシーの「月の光」だった。鑑賞会で、ぼくのレコードを演奏する順番が来た。スピーカーからシンセサイザーの電子音が流れ始めた。するとオーディオマニアたちはにわかにざわめき、中には興をそがれたのか席を立つ人も現れた。以来、好きな音楽は?と聞かれても、シンセサイザー音楽です、と答える勇気はなくなった。昨夜遅く、数日前に録画した冨田勲の追悼番組を見た。三つ放送された特集番組のうち、BSでやっていた番組の最後で月の光が演奏された。5.1チャンネルで放送されていたので、音が四方からぼくを包んだ。ぼくは目を閉じた。音は鮮やかな色を帯びて散っては集まり、集まっては散っていった。そしていつしか虚空に吸い込まれ、闇が残った
マジック
砂の惑星
夜の鳥 その2
アオバズクが遊びに来なくなって半月くらい経った。深夜、部屋にこもって読み物などしていると、窓の外から虫の声、雨音、パトカーのサイレンなどが聞こえてくる。そこに、ひまな友達が遊びに来るように、夜の鳥がやってきて、しきりにぼくを誘う。一週間ほど前から、アオバズクに代わってホトトギスが遊びに来るようになった。一人きりの夜が、ちょっと楽しい。(さっき来たので録音してみました)

























