中谷宇吉郎の随筆集を読んでたら、最近よく思うことと同じことが書いてあって、まったくそうだよな~、と、しみじみ思った。
以下、随筆「私の履歴書」より、彼が高等学校の入学試験に落第した話から
実は大学を出て寺田寅彦先生の助手になって、理化学研究所で働いていた頃、ある晩お宅へ遊びに行っていて、この落第の話をしたことがある。そうしたら先生が「そうか、それはよい経験をしたものだ。落第をしたことのない人間には、落第の価値は分からない」と褒められてちょっと驚いた。それから先生は「僕も落第したことがある。中学校の入学試験に落第したんだが、あれはいい経験だった。夏目(漱石)先生も、たしか小学校で一度落第されたはずだ。人生というものは非常に深いもので、何が本当の勉強になるかなかなか簡単にはわからないものだ」という話をされた。
人生においてほんとうに大切なことは、失敗して、眠れないほど悩まないと自分のものにならない。そんなことを最近、よく思うのです。フェリーニの「道」に出てくるザンパノもそうだよね