土曜日の午後

昼過ぎ、常連の某美女がやってきた。土曜の午後だというのにヒマそうだったので、映画でも見に行ったら、と言うと、先日ぼくに薦められて見に行ったヒコーキアニメはつまらなかった、とブツブツ言った。そこで、今やっている、そして父になる、つーのがうちの女性客の間で評判だよ、福山なんとかという男がいいらしい。この福山なんとかはずいぶん女性に人気があるね、と言うと、某美女は突然遠い目になって、もし、目の前にいるのがあんたじゃなくて福山だったら、あたし、溶けてしまうわ、と目に星を浮かべた。うげ、溶けるって、ナメクジみたいにか? と言うと、ええ、溶けるわよ。と繰り返した。江戸川乱歩の猟奇世界を髣髴する情景が目の前に浮かんだ。ぼくはびびって思わず一歩退いた。