城のまわりを歩く

カフカの「城」を読んでいて、これ、どこかで読んだ気がする、と思った、というより、ほとんどデジャビュに近い衝撃があった。それはずいぶん前に読んだ、村上春樹のなんたらワンダーランド(ちゃんとした名前は忘れた)だった。そして気づいた。そうか、あれからぼくの地図は変わってしまったんだ、と。あの日、ぼくの地図は二つに別れてしまった。そしてぼくは新しくできた方の地図を歩き始めた。古い地図上の世界に戻ることは、おそらくもう無い。