引力

昼ごろ、ドラマーのK氏がコーヒーカップを持ってやってきた。彼の本業は陶芸作家なのだ。そのヒゲモジャラな風貌から、ぼくは勝手に「森のクマさん」と命名している。もちろん彼はそんなことは知らない。クマさんは今日もカウンターに腰かけ、「このコーヒー、スゴクおいしいですねー」とかいいながらコーヒーをすすっている。ぼくはふと思い立ち、先日、某レストランで購入した、あの「ギーガーなカップ」の写真をクマさんに見せてみた。するとクマさんは言った。
「これ、もしかして○○○○に置いてあったのでは?」
○○○○とは、まさにあの、海に面した変なレストランであった。
「ぼくはあのマスターと一緒に演奏したことがありますよ」
ドラマーのクマさんは言った。
そう、某レストランのマスターはブルースハープ(平たく言うとハーモニカ)の名手なのだ。(たぶん)
ぼくは思った。変な人は不思議な引力でつながっている。