魔女

毎朝コーヒー豆を焼く。それがぼくの日課だ。
今朝、いつものようにコーヒー豆を焼いていると、売り場に人の気配を感じた。売り場の明かりはまだ灯ってない。店は10時からだ。時計は9時30分を指している。
「一杯、飲ませてくれる?」
一目で高級品とわかる衣装をさりげなく着こなした年配の女性がカウンターに腰掛け、微笑んでいた。ぼくは照明のスイッチを入れ、コーヒーをたてた。
「きょう、お客さん、多いわよ」
カウンターにカップを置くと、彼女は意味深げに微笑んだ。
なにをおっしゃる。金曜日はたいていヒマなのだ。
と、そこに髪の長い女性が入ってきてコーヒー豆を注文した。開店10分前だった。
「マンデリンを1キロ」
それが始まりだった。以降、お客様は途絶えることなく、午前中にはいくつかのコーヒー豆が売切れ、夕方には、ほとんどのコーヒー豆が売り切れた。
もちろん、こんなことは滅多にない。

“魔女” への6件の返信

  1. そうそう、昨日はありがとうございました。
    彼女も魔女の素質十分!そのうち、マホーを使いこなすようになるかも知れませんよ(笑)

  2. ザッセンの珈琲ミルの件。金属の爪と、陶器のボディとの間にコルクのようなパッキンを噛ませるとでしっかりと固定できて、大丈夫でした。(しかし、いちいちコメントすることか?な)

  3. あ、そのやり方、ベストかもしれないですね。
    金曜日はありがとうございました。
    ザッセンミル、特に陶器のものは希少品になりました。
    末永く、大事にお使いください(笑)

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