鍋の作戦

レバーが好きだという人は少ないと思う。ぼくは好きではないが嫌いでもない。わが家では、焼肉をするさい、子供と妻にはレバーの割り当てをする。そうしないと、ぜったいに食べないからだ。それほど連中はレバーを忌み嫌っている。
ところで、今日はアンコウ鍋だった。
アンコウ鍋で一番うまいのはアンキモであるが、いかんせん高価である。アンキモとは、言うまでもなくアンコウのレバーであり、見た目もレバーそのものである。わが家のテーブルにアンコウ鍋が初めて載ったとき、ぼくはアンキモを指さしてこう言った。
「うおー、このレバーを見てみろ、まさにレバーそのものだな」と。
この作戦はしばらく功を奏していたが、なぜか最近、息子が食べるようになり、ぼくの取り分は減少した。