秋の扉

海で泳いでいると、急に水が冷たくなって不安になることがある。
ぼくはいつものように机に向かって読み物をしていた。
時計の針は午前0時を回ろうとしている。
突然、カーテンが大きくひるがえった。そしてぞっとするほど冷たい風が吹き込み、一瞬にしてそれまでなかった気配が部屋を占領した。
なにか得体の知れぬものが部屋に入ってきた様子である。
ぼくは逃げるように階段を降り、台所で水割りを飲みながらしばらく待っていた。