スティーヴン・キングな昼下がり

豆を焼き終わった後、暇だったのでノートパソコンでスティーヴン・キング原作のスリラー映画を観ていた。
もうお昼だというのに、お客様はだれもいらっしゃらない。ま、こういう日もあるさ。
仕入先のカメラマンI氏とその連れがやって来た。ぼくはDVDを止め、彼らにコーヒーを飲ませてあげた。
彼らが帰ったので再び映画を観始めた。
だれもいらっしゃらない。ゼロである。そこにカメラマンI氏が一人で戻ってきた。
ぼくは再び映画を止めて彼の相手をした。
彼と話していると、いつの間にか3時になろうとしている。いまだにゼロのままである。
これは変だ。明らかにおかしい。昨日はあんなに多かったお客様が今日は一人もいらっしゃらない。
開店以来、こんな日は一日もなかった。
3時を過ぎるとI氏は帰っていった。ぼくもスティーヴン・キングの映画を観るのをやめて、パソコンを閉じた。
とたん、電話が鳴り出した。予約注文の電話だ。ひっきりなしにかかってくる。
お客様も次々にいらっしゃる。どうなっているんだ。思わずほっぺをつまんでしまった。
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その店には入り口がなかった。
訪れた客は店の前を行きつ戻りつしたあげく、結局あきらめて踵を返すしかない…
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ぼくがスティーヴン・キングだったらこう書くな。