ヒマ人のつぶやき

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知恵のあるものは、自分に知恵があるとは少しも思わないだろう。謙虚がそうさせるのでない。それが知恵だからだ。自分に知恵があると思う者には知恵が無い。知恵があると思うと見えなくなるものがある。隠されてしまう。その隠されたものこそ、知恵があると思う者が切に見たいと願っているものだから。これは悲劇だ。

雨の音楽会

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灰色に煙った空から、小さな水の粒がつぎつぎに落ちてきて植物の葉をたたいた。窓を開けて本を読んでいたぼくは、目を閉じ、耳を澄ました。いろんな音が合わさって、なんだか楽しげだ。主催者はだれだろう。ヤツデは半音下がった暗い音色。ビロウの葉は陽気な小太鼓。アジサイはおもちゃのピアノ。わるくない。ゴーシュはそうつぶやき、雨の音に合わせて何か弾くかもしれない。

蚊柱

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初めて東京に行ったのは小学4年の時だった。まず、駅を降りたら、そこが大きなデパートだったのにびっくりした。デパートのおもちゃ売り場に上がると、蛇やワニが売っていて、びっくりした。そして、アリが1匹20円で売っていたのにびっくりした。アリを売るなんて馬鹿げている、と思った。蚊は売ってなかった。

苺タルト

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今日はヨッパライ某の誕生日。ぼくは竹内まりやのアルバムを、娘はピアスをプレゼント。息子はまだバイトから帰ってこないので、何をプレゼントするか不明。写真の苺タルトは、踏切横の、某ケーキ屋で買ったもの。
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口笛吹いて空き地へ行った

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いままで屋上で月を見ていた。
気がついたら口笛を吹いていた。
井上陽水の「枕詞」
そしてふと思った。
今の子どもたちは口笛を吹けるのだろうか。
むかし、教育テレビで、こんなテーマ曲の番組があった。
口笛吹いて空き地へ行った
知らない子がやって来て
遊ばないかと笑って言った
今の子どもは、口笛を吹いて空き地に行くだろうか。

ニュートンの南瓜

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店のビルの屋上は菜園になっている。先月は瑞々しいレタスが屋上一面を覆っていたが、今日、屋上に上がってみると、無駄に巨大化したパセリが菜園の大部分を占拠し、人生を謳歌していた。一方、その傍らでは、こういう場所にはふさわしくないと思える、大柄なツル性植物が四方に陣地を広げはじめていた。夕方、菜園の管理人がコーヒーを飲みに来たので、ぼくは気になったことを述べてみた。
屋上のアレ、カボチャだよね。
ああ、カボチャだ。
キュウリじゃないよね。
ああ、キュウリじゃない。
そうか、そいつは危険だな。
は?
屋上から、はみ出ていたけどね。
ほう。
はみ出たところにカボチャが生って、それが落ちたらケガ人が出る。カボチャは重いからね。
ぼくは言った。
バカバカしい。
管理人は笑った。
しかし、ぼくは心配だった。そして次のような新聞の見出しが頭に浮かんだ。
「空から降ってきたカボチャに当たり、大ケガ!」
(写真で虹のように見えるのは環天頂アークです)
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黒いオブジェ

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黒っぽい服を着ていることが多いので、黒が好きだと思われているかもしれない。黒はキライな色じゃないけれど、そんなに好きじゃない。果てしなく深い青を黒と呼ぶなら、その黒は好きだ。それは、ぼくが記憶している夜空の色。黒が似合う人はいる。友人にも一人いるが、そいつはほれぼれするほど葬式が似合う。