オブジェクト
風のメッセージ
春だったね
天気が悪ければ指宿の某温泉に行く予定にしていたのだが、朝から青空が広がっていたので、やはり温泉に行くことにした。今日は縁の湯をチョイスした。十分温まって温泉をあとにし、某池の周囲を走りながら窓を開けると、生暖かい風が吹き込んできた。ずいぶん気温が上がっているようだ。こんな暖かい日はソーメンを食うのが清く正しい生き方である。ぼくは某町営ソーメン流しへと車を転回させた。この陽気でソーメン屋は大繁盛にちがいないと思ったが、客は2~3人しかいなかった。
いつものようにカメラを取り出し、テーブルの写真をパチリ。ぼくは食べ物の写真を撮るのが大好きだ。ただ、今日はいつもと違い、カメラを縦に構えて撮影することに決めていたのだった。
ぼくは縦の写真も大好きなのだけど、ごらんのように、ブログに貼り付けるとやたらデカくなる。ただでさえ態度のデカいブログなのに、こう写真が大きくては見る人に嫌われる可能性が高い。と言いつつ、臆面もなく、縦写真ばかりべたべたと貼り付けていくのだった。
食事が済むと、いつもの某植物園に、桜を見に行った。毎年今頃になると、伊豆の踊子という名の薄いピンクの桜が咲く。
園内を歩くと、桜とアカシアの花の香りが優しく美しいハーモニーを奏でていた。
色と香りが織り成す甘美な旋律に酔いしれ、連れはベンチで爆睡
楽しい時間は早回しで過ぎてゆく。太陽は急に傾き始めた。
暖かいとはいえ、まだ冬の面影が見え隠れする。
微熱少年の朝
熱が出てアタマがボーッとしてくると、トンチンカンなことを人様のブログに書き込む妙なクセがある。オマケに書いたことも忘れる。こまった問題だ。後で恥ずかしい思いをする。このブログは無防備を装っているが防備は固い。時に裸のフリをするが裸ではない。でも、酔ってたり、熱があるときなどに無防備なことを書いて後で後悔する。そこでぼくは開き直る。ハダカで何が悪い!
微熱少年の夜
風邪をひいているのか、ひきかけているのか。
あたまはぼんやりしている。
部屋のどこかで怪しい音がしても、ぼくの視線は、のろのろとそちらに向かい、行き過ぎて、興味を失う。
気がつくと写真をみつめている。
意識がそこに何かを捕らえたのか、無意識がわけもわからず写真に潜むエネルギーを貪っていたのか。
デジャヴュ
ロマンチストを撃つな
今日も言われた。あなたってロマンチストよね。
何年か前まではそのように言われても、冗談だろう、と、一顧だにしなかった。でも今は違う。ぼくは間違いなくロマンチストだ。たまにブログを読み返すたびにそう思う。ぼくはぼくの世界を星菫派の詩人よろしく美しく感傷的に作り上げていく。今朝、一杯のコーヒーを飲むのに選んだ曲はパガニーニの主題による狂詩曲だった。そう、このようにしてぼくは意図的に幻想的な世界に迷い込んでいく。だが、幻想の世界は美しくも儚い。現実を前にして、あえなく砕け散る。ラフマニノフの甘い調べが虚空に消え入ろうとするそのとき、一人の女性が店に駆け込んで来た。もれるもれる、と叫びながら、彼女はトイレに消えていった。
青のドラゴン
店の一角に、例の不思議なドラゴンを置いている。ドラゴンの顔を見つめつつ移動すると、なぜかドラゴンも首を振りながら見つめ返す。これを見たお客さんの反応は様々。
「へぇ~、おもしろいですね」で、終わる人。
「いったいどうなってるんですか?」と、近くによって確かめる人。
無感動、無反応な人。
どちらかと言うと、みんな、大人というか、冷静だ。
しかし今日は違った。
夕方いらしたお客さんは、ドラゴンを見つめつつ移動し始めたとたん、
「ぎゃあ~~~~~~~っ!」と叫び、のけぞった。
おどろいたのは彼女よりぼくのほうだった。
しかしぼくは満足だった。ドラゴンを置いて以来、だれも期待したほど驚かないので落胆していたのである。このドラゴンの展開図がネットに公開されている旨を伝えると、彼女はピカピカの高級用紙に印刷してわざわざ持ってきてくださった。並べてみると、白黒のレーザープリンタ、A4サイズで作ったぼくのドラゴンは悲しいほどに貧相。