2100万年前の出来事

仕事から帰ってリビングのドアを開けると、「チョーシンセーバクハツ、ソーガンキョー!」と、ヨッパライ某が振り向きざまに叫んだ。続いて奥にいた娘が「大熊座で超新星爆発があったらしいよ、双眼鏡で見えるかも」と翻訳した。というわけで、書棚の奥で永い眠りに就いていた双眼鏡をたたき起こすことになった。独身のころ、星野観測のために購入した明るいF値を持つ双眼鏡だ。ケースから出すと、思った通り派手にレンズが曇っていた。ぼくはレンズクリーナーで曇りを取り除き、本来の性能を発揮できるようにした。次に、超新星の位置を確認するためにネットで検索した。M101の中に現れたことが分かったが、同時に今夜のような満月の夜には小型双眼鏡の手に負える相手でないことも判明した。それを話すと、ヨッパライ某はまるで希望の星が消えたようにがっかりした。とりあえず屋上に上がり、大熊座のミザールとアルコルの逸話などを解説し、それを双眼鏡で見せてやった。見えた!と言って喜んでいた。超新星は、その上の辺りだよ、と言うと、しばらく双眼鏡で探していたが、見えない、と言った。おそらく彼女の頭には花火が爆発したような風景が浮かんでいたのだろう。
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勝手なやつら

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水草を入れている水槽の水を入れ換えることにした。
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水草のみを入れたつもりだったが、いつの間にかメダカが泳ぎ回り、小さな巻貝が這いはじめた。ざぶざぶ洗った水草をきれいな水を張った水槽に投げ込んでオシマイ、のはずだったが、予定外の寄食者の出現によって、そうもいかなくなった。
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水槽から水草を取り出し、洗面器にあけると、2匹のメダカ、数匹の巻貝、そして…洗面器の底に何か恐ろしく小さな生き物が、時折ジェット機のように飛び回っている。なんじゃこいつらは。人の水槽に勝手に上がりこみやがって

air

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たくさんの矢印が風に吹かれて好き勝手に回っている。
ぼくの行き先なんて、まったく無意味だと言いたげに。
そんな、ぼくの朝。
オーディオのスイッチを入れ、あの曲を探す。
スカボロー・フェア
歌詞の意味はさっぱり分からないけど。
でも、これを聞いてると、矢印が、遠い空の向こうを指す

岩のアーチ

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お客さんからお借りした「鹿児島県の歴史散歩」という本を読んでいたら気になる地名が出てきた。ネットで調べても分からず、家に帰って地名辞典で調べてみたけど、やはり分からなかった。辞典をケースに戻そうとして、ふと、そこに描かれた絵に目が留まった。諸国六十八景 薩摩坊津。今まで気に留めなかったのだけど、そこに坊津で見たことのないものが描かれている。巨大な岩のアーチ。こんなのが坊津にあるとは知らなかった。今度坊津に行ったら見てこなくちゃ

風に揺れるススキ

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風に揺れるススキを見ようと、えびの高原に出かけてみた。行ってみると、確かにススキは風に揺れていたが、まだまだ二分咲き、といったところだった。
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ヨッパライ某が腹が減ったというのでソバ屋に行った。窓際に髪を短く切った男がジョッキにビールを注いでいる写真があったので、これはもしかしてイチローか?とヨッパイ某にきくと、そうだ、という。ぼくは納得がいかず、これは合成で顔だけイチローじゃないのか、というと、テレビでもこんなふうにビールを注いでいるよ、といった。
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続けてぼくはきいた。イチローは、なにイチローなの?苗字はないのか? するとヨッパライ某は、え?苗字って…そうだよね、ただのイチローじゃないよね。なんだろう、と考え始めた。
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結局分からず、母親に電話してきいた。すると鈴木であることが判明した。ぼくはそれを聞いて笑った。イチローの親はオレよりひでえな。鈴木イチローだなんて、山田タロー並みじゃないか。
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夕食はぼくの発案により、ソーメンであった。食事をしながら、昼は何を食べたの?と娘がきいた。ソバだというと、昼にソバを食べて夜にソーメンというのはおかしい、と主張した。確かにそうだな、とぼくは思った。食事が終わるころ、突然ヨッパライ某が得意になっていった。イチローの苗字知ってる?すると娘は言った。オオタ!オオタ・イチロー。ここはなんだか異次元のような家だな、と思った。

くもの糸

店の玄関に小さな水槽が置いてある。水槽には水草しか入れなかったが、いつの間にかメダカが泳ぎはじめた。しかも2匹。もちろんそれはタレスの説によるのではなく、水草にメダカの卵がついていたためだった。今朝、いつものようにメダカの様子を見に行くと、水槽のふちにハエトリグモが陣取り、じっと中を覗き込んでいた。見ると、水面を2mmほどのチビメダカがうろついている。まさかそれを狙っているのではあるまい、と思いつつ店の準備に戻った。開店の時間になったので玄関の照明を点けに行った。水槽を見ると、先ほどのクモが浮いていた。やれやれ、と指ですくうと、元気よく跳ねてどこかに消えた。それからしばらく後、お客さんが帰ったあと玄関に行くと、先ほどのクモがまた水槽のふちから中を覗き込んでいた。まさかまた飛び込む気じゃないだろうな、と思いつつ、店に戻った。数時間後、水槽を見に行くと、やはりヤツは浮いていた。ぼくはうんざりしてそれをすくい上げ、水槽から離れたところに逃がしてやった。

夜の回転音

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わが家の前は20年間、空き地だった。それが今年5月ころに分譲農園となり、そのいくつかが売れ、畑になった。空き地が畑になっただけのことで、ぼくの生活になんら影響はなかった。しかし最近、いままで聞いたことのない怪しい音が、夜ごと聞こえてくるようになった。カラカラカラカラ、と、なにか空っぽの物体が回転する音だ。なんだろうと思って見てみると、ペットボトルの風車が畑に突き立ててあり、それが風に吹かれて悲しげな音を立てているのだった。何なんだ。

存在の軽さ

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あなたは愛する相手を理解しているだろうか。
もしそれを確信していても、それは錯覚の可能性が高い。
それが男女間の愛であれば、なおさらのこと。
そして、もしあなたが男であれば、99%、勘違いを起こしている。
ぼくはこの本を読んで、その思いを強くした。
知らないほうが幸せなことは多い。
でもその幸せは偽物