つきあいやすい自分

生きるってことを、以前より真剣に考えるようになった。たぶん、年をとったせい。今日も同い年の友人とコーヒーを飲みながら、こいつもずいぶん年をとりやがったな、と思った。言うまでもなくそれは鏡に映った自分を見てつぶやくのに等しい。こんな名言がある。「父親になるのは簡単だが、父親たることはなかなか難しい」なるほど。そこでぼくも言ってみた。「人間として生きるのは簡単だが、一人の人として生きるのはなかなか難しい」そんなことをブツブツ考えているうちに、むかし読んだ谷川俊太郎のエッセイ集にある文句を思い出した。


勝新太郎さんがどこかでこんなことを言っていた。おれっていう人間とつきあうのは、おれだってたいへんだよ。でも、おれがつきあいやすい人間になっちゃったら、まずおれがつまんない。私はすっかり感心した。自分とつきあうのがたいへんだなんて考えたことがなかったからだ。私は勝さんよりのんきな人間で、自分とも他人とも世間ともあまり衝突せずに生きてこれたと思っていたけれど、実はそれは自分で自分をごまかしていたにすぎないのではないか。


たぶん、多くの人が自分をごまかして生きている。そうしないと勝さんが言うように、大変だから。でも、自分をごまかしたら、人生の価値がなくなりそう

フォースを使え

今日は家族のだれかの誕生日だった。集まる人の関係で、誕生会は日曜日に済ませたのだけど、今日が本当の誕生日。ワインで乾杯するだけの予定だったのだが、お客さんから手作りのカボチャプリンをもらったので、それを誕生ケーキに仕立てて、ささやかな誕生会になった。

当人が年の数ローソクを立てて一気に吹き消したい、と言い出した。ぼくは、つばが飛ぶからやめてくれ、と言ったのだけど無視された。そして残念なことに、すべてのローソクは吹き消せず、7、8本、残してしまった。ぼくはひとこと言っておきたい。ほとんどの人が知らないことだが、30本以上のローソクを一息で吹き消すのは思うほどやさしくない。フォースを使わずにローソクに立ち向かうのは無謀と言っても過言ではないのだ。
なお、カボチャプリンが驚くほどうまかったおかげで、ローソクの失敗で落ち込んだ当人もすぐに元気を取り戻し、ステキな誕生会になった。

失って気づくもの

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この動画、誰が見に来ているのだろう。
ザンパノと同じ過ちを犯してしまった男。
決して、ザンパノのようになりたくない男

ケーキ

仕事を終え、家路を急いだ。1時間以上の遅刻。今夜は誰かの誕生会。会はすでに終わっていた。集まってくれた人たちが帰った後、ケーキに使用済みのローソクを立てて火を灯した。なんだかぼくの誕生日

秋の気配

へーせー最後の夏が終わり、秋の気配。ショーワの秋によく聞いた、オフコースの、秋の気配、をかけ、熱いコーヒーを口に運ぶ。あれがあなたの好きな場所。港が見下ろせる小高い公園。その頃、ぼくは、港の見える小高い公園で、悲しい思い出を作った

雲のかたち

今日はおもしろい形の雲がたくさん出ていた。雲を見ながら飲むコーヒーはおいしい。見ていて、ユーミンの歌を思い出した。リ、インカネーションに入っている、心のまま、という曲。

私の見た雲は馬の形
あなた何に見えた
言葉にしてるまにちぎれていく
それは愛に似てる

もうすぐ秋分の日

雨が降ったら傘をさす

わが家の電化製品はナショナル製が多い。今回買い替えた冷蔵庫もナショナル製。今はパナソニックという変な名前になっているが。ナショナルの製品を選ぶ理由の一つが松下幸之助その人にある。ぼくがホンダ車をひいきにする所以が本田宗一郎にあるのと同じだ。松下幸之助のものの見方、考え方のユニークさにずいぶん惹かれていた時期があった。たとえば、「雨が降ったら傘をさす」。初めてこの言葉に触れたときの衝撃は今も忘れない。

夜、冷蔵庫を買いに行く

どこか遠くでオーケストラが演奏している。ヴァイオリンソロがそれを引き継ぎ、特色のある旋律を奏で始めた。パガニーニのヴァイオリン協奏曲1番。それにしてもどうしてこんなに暗いのだろう。ぼくは目を開いた。ヴァイオリンを鳴らしていたのは壁際の目覚ましラジオだった。ベッドから起き上がり、よろめきつつズボンをはいていると、よく知っている気がする女性が現れ、抑揚のない声で「れいぞうこがこわれた」と言った。なんだって? よく解らない。でも何か深刻な問題が発生したらしい。ブートストラップ中の思考能力はミミズにも劣る。つまり、ぼくは朝がヨワイ。顔を洗い、屋上に出て朝の空気を吸ってノーミソのギヤをローに入れ、階段を降りた。ただの箱になった冷蔵庫は心なしか悲しげだった。冷凍室に常備してあるアイスモナカを取り出し、ガブリと噛みつく。が、薄茶色の躯体は力なくひしゃげ、液化した中身がドロリと抜け落ちた。この冷蔵庫、何年使ったのだろう。”冷蔵庫”でブログを検索したところ、2005年5月18日に新しい冷蔵庫を買った、とある。約13年間、昼夜休みなく働き続けたのだ。お疲れさん。というわけで、仕事が終わった後、電気店に行って新しい冷蔵庫を物色。店員を呼んで、コレ、というと、すみません、水害のせいで、どれも納期が遅くなってまして・・・これは一ヶ月待ちになります。なんちー! 冷蔵庫のない生活を一ヶ月? そんなの想像力豊かなぼくにも想像できない。というわけで、すぐに配達できる冷蔵庫の中から再度選ぶことになった。結局、予算の二倍の冷蔵庫を買うことになってしまった。