定休日

303_1 今日は休み。どこかに行きたい。
しかし、台風のせいで天気が悪い。
お昼ごろ、買い物に出かけていたヨッパライ某からメールが来た。
「スーパーに来ているけど、いるものある?」
ぼくは条件反射的にあるものが浮かんだ。台風といえばコレなのである。
「チキンラーメン」と、思わず書いて送った。
そんなわけで、ぼくの昼ごはんはチキンラーメンにタマゴをのせたワビシイものになってしまった。
夕方、ビデオを借りに出かけたヨッパライ某にメールを送った。
「以下のCDを借りてきてください。マントヴァーニ・オーケストラ「今宵の君は」という曲が入っているアルバム。無ければベストアルバム。パーシーフェイス・オーケストラ「夏の日の恋」という曲が入っているアルバム。無ければベストアルバム。フランク・プゥルセル「ミスター・ロンリー」という曲が入っているアルバム。無ければベストアルバム」
返事は来なかった。
帰ってきてヨッパライ某は言った。「なかったよ」
ヨッパライ某はいつもツタヤの店員にぼくが送ったメールを見せ「これ」といって借りてくる。
今日は間違って、ひとつ前のメールを見せてしまったそうだ。
「チキンラーメン」

台風14号

台風が近づいてきた。
今度の予想コースは鹿児島市にとって、かなりアブナイ。
危険なのは左フック。
コイツを食らうと、風が強く吹く。よって、被害も大きくなる。
明日は休みだ。
台風が来るのはあさって。
このままだと明後日も休むことになるかもしれない。

流星

風が強いのは、わが家が高台のがけっぷちに立っているせいだ。
ぼくはいつものように屋上のテーブルに寝転がって星を見ていた。
逃げるように雲が流れていく。台風が近づいているから。
雲の切れ間から星が見え、思い出したように流星が飛ぶ。
ぼくは訳の分からない口笛を吹いている。
ぼくは酔っている。FourRoses.安いバーボン。

エビスから来た男

今日もI氏は、やってきた。今日は赤いシャツの友人を連れてやってきた。
「彼にココの豆を買わせようと思ってね」と、にやついた。
「今日はお客さんはどうですか?」
「来ないよ、まだだれも来ん」
「ふーん」と、眉根にシワを寄せ小首をかしげる。
心配顔を作ったつもりなんだろうが、どうみてもうれしそうだ。
彼がカウンターにいる間はお客様は少ない。来ない。
しかし、彼が帰ったあと、お客様が次々といらっしゃる。
疫病神なのか福の神なのか。

朝の演歌

午前11時を少し過ぎたころだった。走る魚屋が店の前に止まり、屋根のラッパ型スピーカーが派手に叫びだした。
「それでも~わたしは~あなたに~つい~て~ゆ~う~く~~~♪」
悪いけどぼくは朝からそういう気分にはなれない。
それにしても、どうして走る魚屋さんは演歌をかけるんだろう。
しかも、その歌詞は聞いているほうが恥ずかしくなるような内容。
いや、恥ずかしく感じるのはぼくだけかもしれない。
侠気に富む男に黙ってついていく女。美しい構図だとは思うのだけど。

5年

いよいよ8月も終わる。
店のカレンダーをめくり、9月にした。
あとひと月で、この店を始めて丸5年。
2000年の10月にオープンしたのだった。
9月に友達を呼んで、練習したんだよな。
手伝ってくれた友達の顔を思い出す。
だれしも、「やれやれ、コイツには困ったもんだな」という顔をしていた。
そう、困った友達は持ちたくないものだ。

びびる日もある。

何を書こうか。
なんだか書きづらくて、さっきからずっと筆が止まったままだ。
今日はけっこうお客様が多かった。
うちのお客様は主婦が多いのだけど、彼女たちと話していてヒヤリとさせられることがある。
それは、この日記を見ている、という声。
ごく普通の、あまりパソコンとは縁のなさそうな主婦にそう言われると、一瞬フリーズしてしまう。
今日はそういう主婦が数人いらした。
そんなわけで、びびりながら書いている。

夜空の十字架

屋上のテーブルに腰掛け、ビール片手に星空を眺めていた。
南の空では、さそり座が西に傾いている。夏も終わりだ。
ふと上空に動くものを認め、見上げると、ジェット機が白鳥座を横切るところだった。
白鳥座は別名NorthernCrossという。
南十字星(SouthernCross)がいびつな形をしているのに比べ、とても整ったかたちをしている。
夜空に輝く十字架。それは遠く静かな、まるでぼくには関係のない世界に見える。しかしそれはいつも耳元で語りかける。

多重人格

ちょっと古いけど、ダニエルキースの「24人のビリーミリガン」を読んでいる。
10年くらい前にヒットした、ビリーミリガンという実在する多重人格者をレポートしたノンフィクション。
読んでて気になったことがある。
ひょっとすると、ぼくも多重人格者なのではないか、ということだ。
なぜなら、タマに記憶の空白時間が生じることがあり、その時間に何をしていたか思い出せないからである。
もしや別の人格が起きだして、ナニかよろしくないことをしているのではあるまいか。
それとも単なるボケか。