今夜は、Oさんのお宅で「ワインとローストビーフとフランスパンと音楽の夕べ」(仮名)なのだった。手作りローストビーフがタラフク食える、うれしいな~、ワインがガボガボ飲める、うれしいな~、うれしいなったら、うれしいな~♪
店を閉める間際、Aさんと、そのお友達のDさんが豆を買いにいらした。なんとDさんがフランスパンを作ってきてくださった。素晴らしいタイミング!なんていい人なんだろう。店を7時半頃閉め、F少年の四駆でOさんのお宅がある某高台へ向かった。坂を上っていくと、雨が雪に変わった。「ワインとローストビーフとフランスパンと音楽の夕べ」(仮名)に似つかわしい、ステキなムードになってきたのだった。乾杯後、さっそく奥様手作りのローストビーフをいただいた。ホースラディッシュとかいう下ろし大根みたいなのを擦り付けて食べた。ウマイ!ぼくの脳裏には小雪の舞うロンドンの街が浮かんだ。ロンドンには行ったことないけど。続いてDさんからいただいた手作りフランスパンを口に入れた。ウマイ!ぼくの脳裏にはセーヌ川沿いのナントカというキャフェが浮かんだ、ような気がした。ちなみにフランスにも行ったことはない。Oさんが用意されてたJOHANのフランスパンもうまかった。これはパリ全体が浮かんだ。皮がぱりぱりしてたからだろう。ワインもうまかった。ぼくが持参したボジョレなんとかヌーボーも好評だったが、これは意外だった。F少年は酒が飲めないので、ワインの代わりにゼンザイがあてがわれた。
携帯で撮った写真なので色がイマイチですが、本物は鮮やかでした。
西田橋
ベルトの穴
ベルトがゆるくなり、少し切り詰めた。
ふつう、革ベルトには3つ、ないし5つの穴があって、ある程度長さを調整できるようになっている。しかし、真中の穴以外使ってはいけない。他の穴はマティニのさくらんぼ同様、飾りなのだ。
と、ぼくは信じているが、その真偽は定かでない。ぼくは学生の頃からそうしているのだけど。
08:30
今朝、やっと床屋に行った。定休日が同じなので、なかなか行くことができない。開店5分前に到着。閉まっていた。わざとドアの前でウロウロしてたら強面のオヤジが顔を出し、にやっと笑った。真ん中の椅子を勧められたのでそこに座った。
「そうそう、あんたに聞きたいことがあったんだが…なんだったかな」
難しい質問だった。
「なんでしょうね」
「なんだったか…思いだせんなぁ」
ぼくに思い出して欲しい様子だった。しかしぼくは朝からそういう無駄な努力はしないことにしている。相手がきれいな女性なら話は別だ。
40分後、ぼくは3000円払い、車を飛ばして店に向かった。
ワルサーP38
S氏は「寒いですね」と言って、カウンターに座った。
彼は薬の切れた中毒患者のように、ピントの合わない、よどんだ目でカップを見定め、ぎこちなく口に運んだ。今は風采の上がらない彼も、その肩にテレビカメラが載ったとたん、別の生物のように機敏に動く。それは洗練された美しい芸を見ているようだ。人間と道具が一体化して目的を果たす。
ジョン・レノンは、ギターを。
ルパン三世は、ワルサーP38を。
ぼくは・・・ヤカン?
悲しい
寒い一日
「行ってきます」
息子の声で目が覚めた。
「いってらっしゃい」
寝ぼけまなこで時計を見ると、10時を指していた。休みとはいえ寝坊である。それにしても、なんで今頃学校に行くんだ?…そうだった、修学旅行だ。息子は修学旅行に行くといっていた。お別れの挨拶をしなければと思ったが、寒くて布団から出られなかった。旅行は一週間、行き先はパリだそうだ。こんなに寒いのにパリ。バリなら暖かくて良かったのに。ヨッパライ某が用事で出かけるというので、ぼくは家でじっとしていた。とりあえず、ラベルのボレロをかけながら茶碗を洗った。CDが終わると、部屋はシーンとなった。ぼくはテレビをまったく見ないので、音楽をかけない限り部屋は静かだ。こういう寒い日は、柱時計のコッチコッチ、火鉢にかけた南部鉄瓶のしゅうしゅうという音が聞きたくなるな。
Hello!
夜、パソコンを開いて仕事をしていたら、突然画面が青くなり、謎の英文が現れた。
Hello!
ぼくは映画マトリクスを思い出した。不思議の世界からお呼びがかかったのである。と、いう展開になるのはマンガや映画の中だけだ。Hello!ではなく、Error!だったからだ。それはメモリーがどうしたのディスプレィドライバーがこうしたのと数学の先生が生徒を諭すようなウルサイ文章だった。以降、電源は入るものの、起動しなくなった。早い話が、ぼくのVAIOは壊れたのだ。とっさに思ったのは、保証期間は切れてないか、だった。もちろん、切れていた。2年以上使っているのだ。とりあえずマニュアルを引っ張り出してリセットボタンを押したり、電源を抜いて放置したり、いろいろやってみたがだめだった。なんてことだ、可愛い女性に対してそうするように、大事に扱ってやったのに。ぼくはVAIOに対して腹が立ってきた。しかし、ぼくはもう大人だった。彼女は病気なのだ。原因はなんだろう。そういえばここのところ空気が乾燥している。静電気の帯電でメモリーまわりにトラブルが起きてるかもしれない。彼女はデリケートなのだ。ぼくは慎重に裏返し、フタを開け、メモリーをいったん取り外して再セット、フタを閉じた。スイッチオン。
Hello!
彼女は再びぼくにほほえんだ。
幸福の王子
幸福の王子っていう童話があるんですが、あれは教科書に載ってたんでしょうか。
さっき、風呂で頭を洗ってたら、なぜかその幸福の王子を思い出した。きっと、ここのところ寒いからでしょうね。
ぼくはあの物語に出てくるツバメがかわいそうでしょうがない。
髪を洗いながら、また悲しくなった。いい年をしてバカみたい。
確か、最後は神様が二つの心を天国に持って行ったんだと思うけど。
子供のときに読んだ本の感動は尾を引くよね。
浅煎りマンデリン
某番組の影響でスポットライトを浴びているコーヒーがある。
それはマンデリン。ただし、浅く煎った、酸味のあるタイプ。
一般に、コーヒー豆は深く煎ると、酸味が影をひそめ、苦味に偏ったコーヒーになる。例えばスターバックスのコーヒーがそれで、ここでは深煎りタイプしか扱ってない。
昨日、常連のお客様が、いつものように深煎りコーヒーのみ数種類注文された。彼女は深煎りコーヒーが好みである。
「深煎りコーヒーが好きなお客さんにはナイショにしてるんですが、じつは、こんな豆があるんですよ」
ぼくは豆を袋に詰めながら浅煎りマンデリンの話をはじめた。
「これを飲んで、しばらくすると背中のあたりがジワーッと熱くなってくるんです。脂肪を燃焼する筋肉が背中にあるらしいんですね。ダイエットに効くそうです」
「へぇ~そうなんですか」彼女は不思議そうにうなずいた。
「でも、すっぱいです。深煎りが好きな方はやめたほうがいいですよ」
今日、再び彼女はやってきた。
「どうしたんですか、昨日のは、もう飲んじゃったんですか?」
「あれ、あるんですか?」
「え?」ぼくは何のことか分からなかった。
「酸っぱいマンデリン」
彼女は酸っぱいマンデリンを200グラム買って帰られた。