一羽の蝶がきっかけで、私は生物学を真面目に考えるようになった
昨日発売された、ノーベル生理学・医学賞を受賞した生物学者ポール・ナースの「WHAT IS LIFE? 生命とは何か」
さきほど電子書籍版をダウンロードして読み始めたのだけど、出だしのツカミがなんともいい。著者の温かい人となりが行間に浮かんでいる。
ある早春の日、たぶん、一二歳か一三歳だったと思う。庭に座っていたら、黄色い蝶がひらひらと垣根を越えて飛んできた。その蝶は向きを変え、ほんのちょっとのあいだ、羽ばたきしながらその場に留まった。羽の上に、精緻に浮かび上がる血管や模様が見えた。次の瞬間、影がさすと、蝶はふたたび飛びたち、反対側の垣根の向こうへと消えていった。
頭にたくさんの疑問符をしまい込んだ昆虫少年が大人になって生物学者になり、ノーベル賞を取った。
啓蟄を過ぎ、いろんな生き物がうごめき始めた今にぴったりの本かも