雨の音を聴く男たち

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朝から雨が降っている。気圧が低いせいか頭がはっきりしない。時の過ぎ行くまま、ぼんやり雨の庭を眺めていると、なんとなく静かなクラシック音楽が聴きたくなってきた。ふと、自作の真空管アンプとTANNOYで室内楽を聴いているという、常連のお客さんの顔が浮かんだ。電話をしてみると運よく在宅されていた。ぼくは北に車を走らせた。小さな丘を二つ越え、川を渡り、坂を上って、場所がわからずに住宅地の路地をぐるぐる回っていると、雨の十字路に見覚えのある初老の紳士が微笑んでいた。車を停め、玄関に案内されると奥からリュートをかき鳴らす音が聞こえてくる。こんな雨の日にふさわしい、どことなく憂いを帯びた演奏。だれが弾いているのだろう、と驚いていると、それは件のTANNOYから流れていたのだった。
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星の涙

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今でもはっきり思い出すことができる。幼稚園に入る前だったから、たぶん三歳くらいなのだろう。ぼくと母は階段に腰掛けていた。母がぼくの手のひらに金平糖をのせ、これはお星さまの涙なんだよ、といった。ぼくはそれを長いあいだ信じていた。
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予感

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枯れ木のようだった庭のケヤキから、みるみる青葉が吹きだした。
毎年のことなのに、なにか新しい始まりが起こる予感。

水星

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父  みよ、あれが巨人の星じゃ。
息子 とーちゃん、違うよ、あれは金星じゃないか。
父  ばかめ、おまえは学校で何を勉強してきたんじゃ。
娘  お父さん、あれは金星よ。ボケるにはまだ早いわ。
父  じゃあ聞くがな、その右下にある小さいのはなんじゃ。
娘  そんな星は見えないわ。
父  おまえはブログの見方も知らんのか。画像をクリックしてみ。
息子 とーちゃん、まさか小人の星じゃ、なんていわないでくれよな。
父  うっ
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位相のズレ

世界とはなんだろう。斎藤環と茂木健一郎の往復書簡「脳は心を記述できるのか」のなかで、今回、斎藤さんが「世界」について、分かりやすくまとめているように思います。みなさんは、世界とは、いったいなんだと思いますか?それにしても、茂木さんの返信はちょっとひどいと思うのですが。斎藤さんが提起した問題の肝心な部分にまったく答えていない。どうなっているんでしょう。位相のズレなんでしょうか。できればそう思いたいのですが、ぼくにはそうは見えません。

どこで知り合ったんですか?

午後8時、近くの山の上のホテルで式を挙げられた二人が、その帰りに店にやってきた。二人とも当コーヒー店の常連客。彼氏は5年ほど前から、彼女は10年近く前から店に通ってくださっている。たまたまカウンターに同席したのがきっかけで、それから約2年後の今日、めでたく挙式されたのだった。閉店時間はとっくに過ぎていたが、3人で写真を撮ったり、いろいろな話題で盛り上がった。二人の話を聞いていておもしろく思ったのは、「どこで知り合ったんですか?」と尋ねられたときに、一言で答えにくくて困る、というはなし。この店が喫茶店ではなく、コーヒー豆の販売店なので、説明がややこしくなるというのだ。「コーヒー豆屋で知り合いました」と答えると、相手は首をひねる。たしかに、コーヒーを買うだけの店で運命の出会いが起こるとは考えにくい。そこでこんな説明を付け加えることになる。その店にはコーヒーのテイスティングをするためのカウンターやテーブルがあるので、喫茶店とほぼ同じシチュエーションが発生するんですよ、と。確かにややこしい。そこでぼくは二人に言った。「喫茶店で知り合った、といえばいいんじゃないの」と。まあ、それにしても今の時代、喫茶店で知り合う恋人たちなんて、いったいどれくらいいるのだろう。二人は明日ハネムーンに旅立つ。行き先はハワイだそうだ。い~な~っ

川の空

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いつもより早く出勤し、近くの川に出かけてみた。
なんだか不思議な空。UFOの軍団?
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桜が満開だった。
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空はミルク色に曇っている。
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土捏ね男の逆襲

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うららかな土曜の午後、カウンターの中でうつらうつらしていると、口の下に髭を生やした怪しい男が現れた。しかし、よく見るとそれは、あの有名(かもしれない)な某陶芸家であった。ぼくは彼の奥さんと話をしたかったのだが、今日は一人でやってきたとのことであった。今回持ってきた作品は、あいかわらず独創的で、思わず手に取りたくなる魅力的なものであった。