初海水浴

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今日は月曜なので定休日。夏のスイッチをONするために海に向かった。いつもの海。だれもいない。だれも泳いでいない。月曜日だからだろうか。でも、さみしいわけではない。だれもいないほうが気楽でいい。海に入ってみると、けっこう冷たかった。それに透明度がいつもより低い。潜ってみるけど、魚が見えない。クラゲもいない。どこに行ったのだろう。少しさびしい気分。070723_02_2海にはぼく一人しかいないのに、土手のスピーカーからは数十分おきに「ここで泳ぐのは大変危険です」と、女性の声でアナウンスがある。その声が不思議とやさしく感じられ、海に一人ポツンと浮かんでいるぼくにとって灯台のようでもあり、なんだかうれしかった。4時間ほど泳いで帰路に就いた。
上の写真は、そのスピーカー。
土手にはハマゴウの花がたくさん咲いてました。
左手の黒い飛行物体はクマバチ。
携帯で撮ったんだけど、よく撮れてるでしょ?
(写真をクリックすると大きくなります)

夜のドライブ

昨夜はひどい雨だった。夜、高速を飛ばし、大雨の中を大隅半島の岩川という町に向かっていた。岩川に到着したのが11時過ぎ。岩川は人気もなく、ひっそりとしていた。岩川での当てが外れ、急遽、輝北町に向かうことになった。用を済ませ、帰路に就いたのが午前1時ごろ。あまり広くない真っ暗な山道を走っていると、大粒の雨が滝のように降り出した。車は霧に覆われ、視界は数メートル。
「フォースを信じるんだ」
ふいにそんな言葉が浮かんだが、それどころではなかった。

プロムナード

昨日は月曜日で休みだった。ぼくは血圧が低いせいか、目が覚めてもしばらくパァである。パァなまま机のパソコンに向かい、「月曜日は休んでます」という文字を、かなりの時間をかけてやっと掲示板に打ち込み、送信ボタンをプッシュ。エラー。よくあることなので気にせずリトライ。成功。掲示板の「月曜日は お店休んでます….. 」という文字をしばらくぼんやり見つめていると、不意にケータイが鳴った。
 Sub 南薩
本日も出勤でっか?
当ブログにも時々コメントしてくださるE氏であった。予定では、県道17号線(指宿スカイライン)を南下、川辺ICの先にある 錦江台展望公園 のアジサイをチェックすることになっている。
 Sub Re:南薩
まず、イブスカの椿の郷に行って、それから考えようと思ってますがよ
と、ぼくは返事した。すると
 Sub Re:Re:南薩
ぼくもイブスカを流す予定です
そんなわけで、ぼくらは錦江台展望公園で落ち合った。なお、錦江台展望公園は椿が林をなしているので、以前は「椿の郷」と呼ばれていた(ような気がする)。つり橋の下に群生しているアジサイはまだ五分咲き。広葉樹の枝が重なり合う薄暗い小道をブラブラ歩く二人の男。その会話は植物や昆虫のことばかり。遠くで、そして近くでウグイスが鳴く。ふいに木々がざわめき、風が通りぬける。アリストテレスとその弟子たちは、道をブラブラ歩きながらよく議論したそうだ。たしかに歩きながらだと、話にリズムが出るためか、話が弾み、よく展開する。やがてぼくらは小高い開けた場所に到着し、岩に腰掛けてコーヒーを飲んだ。鳥の声、風の音。ここはとても静かなところだ。
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せりふのない一日

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昨日は定休日だったのでドライブに出かけた。南に一時間も走ると、そこは大きな植物園。そこには、赤い花や白い花、青い花が咲いていたが、その日ぼくはそれを言葉にするのをやめてみた。言葉にするのをやめると、赤い花は赤い花であることをやめる。白いアジサイも同じだ。そんなことが簡単にできるもんか、と思う方もいるだろうけど、ぼくはできる。といっても、ゲシュタルト崩壊を応用しているだけのことだ。070604_01ぼくは頻々として起こるゲシュタルト崩壊に悩まされていたのだけど、おかげでその状況をある程度フィードバックできるようになった。フィードバックできるということはコントロールできるということ。抽象化をやめると世界は一変してしまう。エネルギーが渦巻く引力と斥力のリアル世界だ。

ギーガーのカップ

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今日で連休も終わり。降り続いた雨もやっと上がり、朝から青空が広がっている。コーヒーをポットに詰め、ぼくは山を越え田畑を抜けて南西の海へと走った。目指すは海に面した小さなレストラン。去年の秋以来、何度行っても閉まっている。今日はどうだろう。070507_02海沿いの道路から店を見下ろすと、駐車場に車が数台止まっている。店のドアも開きっぱなしだ。開いてるように見えるが… 開いていた。しかも、お客さんがいた。ぼくは店内を通り抜け、いつものように屋外デッキに出ると、テーブルとイスを海側に引きずり寄せて海に向かって腰掛けた。しばらくしてメニューを持ったおっちゃんが現れた。
「連休中は、さっぱりだった」
おっちゃんは開口一番、悲しそうにつぶやいた。
「ずっと雨だったからね」
ぼくはそういってコーヒーを頼んだ。
海を見ながらコーヒーを飲み、ぼんやりしていた。海からずっと風が吹いていた。ぼくはこういう時間がとてもいいもののように思う。
帰りがけ、出口近くの棚に変なコーヒーカップを見つけた。
「これ、売り物?」ぼくは聞いた。
するとおっちゃんは
「買うの?」といった。
「いくら?」ぼくはきいた。
「ほんとうは2000円だけど1500円でいいよ」
ぼくは買うことにした。H・R・ギーガーがデザインしたエイリアンの卵みたい。ちょっと気持ち悪いけど、こういうデザインって好き。
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春爛漫

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起床8:00。今日は休みなのだが、9時に歯医者の予約を入れたので早めに起きた。昨夜キムチを食べたので、歯を磨いてリンゴを2分の1食べ、近所の歯医者に出かけた。リンゴを食べるとニンニクの匂いは消えるらしい。早く着きすぎたので待たされることになった。書棚には婦人雑誌とマンガしかなかった。ぼくはマンガは読まないのだが、婦人雑誌よりはマシだと思って適当なマンガをつかんで読み始めたらけっこうおもしろかった。070409_04マスターキートンというマンガで、次回も引き続きこれを読もうと思う。名前を呼ばれ、一番奥のシートに案内された。キュートなお姉さんがていねいに歯石を取ってくれた。終了後、「いたくなかったですか?」と、ピンクのホッペのお姉さんはニッコリ微笑んだ。ぼくは「ぜんぜん痛くなかったです」と笑った。本当は少し痛かった。時計は9:57を指していた。車は海沿いの道路を南に向かった。山の麓にある貸切温泉に到着したのが11時。今日は響の湯を選んでみた。ここしばらく寒かったせいで、持病の腰痛がひどくなっている。ぼくはいつもより時間を30分延長した。柔らかな日差し、鳥の声。ぼんやり外湯に浸かっていると、時間の感覚が遠のいていく。温泉を後にし、池田湖畔の静かな公園でコーヒーを飲んだ。070409_03散っているだろうと思っていた桜は、うれしいことに満開だった。遠くでウグイスがしきりに鳴いている。メジロが次々に飛来し、桜の蜜を吸う。メジロが枝を渡り移るたびに、花びらがはらはらと舞う。湖面に映る開聞岳が美しい。花鳥風月。今日、ぼくもその風景の一部だった。腹が減ったので、町営ソーメン流しで昼食。ここのソーメンはあいかわらずウマい。このダシがすこぶる美味しいので、ペットボトルに入れて持ち帰る人もケッコウいるという。満腹になったところで、いつものようにフラワーパークに寄り、咲き誇る花を見て回った。めずらしいサルビアが植えてあった。070409_02売店でバジルを4株買った。1株80円。スパゲティーが好きなので、バジルがないと生きていけない。

北に走ることもある

昨日は定休日。予定では、笠沙の海辺にある某レストランか、開聞岳麓の唐船峡そうめん流しに行くつもりだった。最初の信号にさしかかって、どちらに行くか迷っているとき、ふと、前日にいらしたお客様との会話を思い出した。ひとりは佐多岬を周遊する特殊な船に乗って海中を眺めたといい、もうひとりは、阿久根の長島でグラスボトムボートに乗り、ガラス越しにイルカと挨拶を交わしたという。イルカとコンニチハ…。しゃれてる。佐多岬は遠いが、長島だったら2時間ちょっとで行ける。ぼくは左折ウインカーを戻し、車を直進させた。入来峠を越え、出水経由で阿久根に入った。窓は全開。春の匂いが気持ちいい。黒の瀬戸大橋を渡り、右折。まずは、視界の開けた場所でコーヒーを飲むことにした。行人岳に到着。なぜか人が多い。年配のオッサンたちが、駐車場の北側の柵に沿って横一列にカメラを並べ、異様な緊張感を醸し出している。いったい何事であろうか。カメラの砲列は北の空をじっと見据えたまま、一触即発の様相を呈している。恐る恐る近寄って見ると、どのカメラにも、ん十万円はする立派な望遠レンズが取り付けられている。そう、このオッサンたちは、UFOが表れるのを今や遅しと待ちわびているのだった。世の中にはいろんな人がいるものである。感心しながらトイレに向かうと、壁に次のような貼り紙がしてあった。
「ツルの北帰行をお待ちの皆さんへ。ほとんどの場合、ツルは午前中に旅立ちます、午後に帰ることはあまりありません」
コーヒーを飲み、一息ついたところで、山を下り、イルカウォッチングをやっていそうな方に車を走らせた。小さな島だから、適当に走っていれば、イルカウォッチング屋に着くだろう、と、軽い気持ちで車を走らせていたが、すぐに迷ってしまった。それらしいところになかなか辿り着かない。どこかで食事をし、そこで聞いてみようということになった。道の駅があったので、そこのレストランで、海鮮丼とあら炊き、そしてアラカブの味噌汁を食べた。時計を見ると、もう2時過ぎ。K銀行に用事があるので、道の駅の看板地図で探すと、ここからはけっこう遠い。しかもそこは先ほど迷って近くまで行ったところだった。戻るのもバカらしいので、阿久根の街のK銀行に行くことにした。というわけで、イルカウォッチングは次の機会に委ねることになったのである。

変わらない海

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ぼくは晴れた日のドライブが好きだから、休日の天気をネットの週間予報でマメにチェックしている。昨日は定休日。予報は二日前の時点で快晴を表明しており、ぼくは、こづかいをもらった子供のように素直に喜んでいた。しかし、前日の夕方になって予報は一転し、明るい太陽の絵柄に代わって、大きく開いた傘マークが躍り出た。ぼくは失望した。しかし、ただで与えられたものはいずれ取り去られる。子供なりのわきまえが、ぼくを静かなあきらめに誘った。ところが予報は再び翻る。当日の朝になって、予報は晴れのち一時雨を宣言。さすがにうんざりした。素直な少年の心はこうしてねじけ、やがて人間不信に陥っていく。のかもしれなかった。ぼくは、「もう天気なんか、どうでもいいや」的気分のまま車のキーをひねった。
三月を前に、日差しは思いのほか強い。確実に冬は終わった。そう思ったとたん、明るい車中に名状しがたい動物的予感と期待が渦を巻いてあふれかえった。ぼくは窓を半開きにして海岸線を走った。砂浜に立ち、何も考えず、ぼんやりと海を眺めていた。変わっていくぼくのなかの変わらない何かと海。

空の青

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天気が良かったので海に向かった。きょうは振替休日で全国的に休みだった。天気もいいし、きっと海もにぎわっているだろうと思ったのに、人は少なかった。波が引いたあと、濡れた砂に映った空の青がきれいだった。

瞳を閉じて

昨日は定休日。目覚めると9時だった。寒くてベッドから出られない。ベッドの中は温室のようにホンワカしている。ふとその時、かすかな女性の声がぼくを呼んだ。ような気がした。それはたぶん、南の海に面したフラワーパークの方角からだった。ような気がする。ぼくはベッドから這い出し、コーヒーをポットにつめ、音楽を準備し、車を南に走らせた。池田湖畔の静かな公園でコーヒーを飲みつつ、どこで昼食をとるか迷ったが、開聞山麓にある「花と香りの店」でAランチにすることにした。Aランチとはペルー風おじやとサラダとスープのセット。デザートはハイビスカスのシャーベットにした。ペルー風おじやに生のハーブを千切って入れると、気分はもう、すっかり春、なのだった。フラワーパークに着いて、まず図書館でパスポートの更新を済ませ、園内の南はしにある西洋庭園に向かった。裸足になって芝生に寝転がり、目を瞑るといろんな音が聞こえてくる。風のそよぎ、鳥の声、波の音。そして草花の匂い。目を瞑ると世界はずいぶん違ったものに感じる。ぼくは気づいた。ぼくはあまりに目に頼りすぎている。目に見えないものが目を瞑ることで見えてくる。簡単なことだった。ぼくは新鮮な感動を覚えた。花や木々の写真をたくさん撮るつもりで来たのに、カメラを構えようという気持ちは、もはや起きなかった。