夕方、古い友人Fがやってきて、カウンターに座った。
「こんまえ頴娃町にカキ取いけいっせー食ったげな、わーっぜうめかったど」
訳)頴娃町でナマガキを取ってきて食べたところ、大変おいしかった。
「岩にひっちちょっとを、ハンマーでパカッち叩っせえナイフでこじっばっかい」
訳)岩に張り付いているカキにハンマーを一撃、ナイフを差し込むと簡単に取れる。
「さしんで食ったげな、サイコー」
訳)刺身で食べたら、とてもうまい。
「フライもわっぜぇうめかったど」
訳)フライも、とてもおいしかった。
「あまったとーグラタンにしたげな、けしんめウメかったい」
訳)グラタンもうまかった。
ぼくはうんざりして言った。
「うちに持ってこんか」
訳)そんな話をする前に、うちに持って来い。
「いんも忘るっとよねー不思議やらいねー。ガハハ」
訳)いつも忘れてしまう。不思議だ。ははは
“カキ” への6件の返信
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「スプーンさんの話は いんも おもしてど。」
訳)私にもカキを分けてください。ナマで良かで。
なしごれんさん、わりどん、もーなかち、ゆーちょったがよ。
訳)いつかいっしょに取りに行きたいですね。頴娃町の鬼口のそばらしいです。
「かたしてー♪」
訳)その時は、私をトランクに放り込んで下さい。
なんちー、「かたして」ちや、わっぜ、ひさしかぶいにきいたど~。
訳)トランクを開け忘れて数週間経ったある日…
つづく
わっぜい、そんつづっが気になっど
訳)牛乳を飲んでるときじゃなくてよかった
じゃらいねー、つづっ、なんちかいちょれば気にならいなぁ。
訳)ぼくは夜になるのを待った。人に知れたらめんどうなことになる。腕の時計は午前2時を回っていた。周囲にだれもいないのを確かめ、音を立てぬよう恐る恐るトランクを開けた。
もぬけの殻だった。
ホッとすると同時に、背中に冷たいものが走った。どう考えても中から開けることは不可能なのだ。
「いったい、彼女は何者…」
ぼくはガタガタ震えだした。
つづく…