もしかすると、もう冬なのかもしれないが、ぼくは季節に関係なくアイスクリームが好きだ。突然、何の前触れもなく夕日に向かって叫びたくなるくらい、アイスクリームが食べたくなる。そういうわけでぼくは冷蔵庫にアイスクリームを常備している。そう、心の平和はこのようにして保たれているのだ。久しぶりの発作は、今日、夕日が沈んで窓の外が暗くなったころ襲ってきた。でも心配はいらない。ぼくは平然と冷凍室のドアを開け、その奥からアイスクリームを取り出し、優雅にスプーンですくって食べ始めた。ああ・・・なんという幸せ。小さくたっていい、ぼくは確かな幸せが好きなのだ。カップの底にあと二口分のアイスクリームを残すだけになったとき、店のドアが開いた。お客さんだ。ぼくはあわててその二口分のアイスを口に放り込んで飲み込んだ。次の瞬間、目の奥から後頭部にかけ、焼け火箸を突っ込まれたような激痛が走った。ぼくは膝の力が抜け、その場にうずくまった。てっきり死んだと思ったが約3分後に回復した。