たそがれのCAR BOY

西日が射す店に入ってきたバイク少年は、カウンター奥の席に直行し、柱にもたれて、しばらく目を閉じていた。妙な既視感があった。それはむかし見た映画、真夜中のカーボーイのラストシーン。フロリダ行きのバスの後部座席で窓に顔を寄せたまま息絶えるダスティンホフマン。バイク少年は愛車アルファ・ロメオで湾岸をドライブし、帰りに寄ったのだが、逃げ道のない道路で渋滞に巻き込まれ、死ぬほど疲れたのだった。コーヒーを飲んで息を吹き返したバイク少年と、いつものように車の話を始めたが、ふと少し前に読んだネットの記事を思い出し、その話をした。それはビル・ゲイツが人生後半で悟った、人生で2番目に大切な意外なこと、で、それは「遊び心を持つこと」なのだという