夜、エアコンを買いに行く

わが家のダイニングの空調は30年前に家を建てて以来ずっと、夏は扇風機、冬は石油ストーブ。ぼくはそれが気に入っていた。物憂げに首を振り続ける扇風機、そしてストーブに載せたヤカンが止むことなく湯気を吹いてる風景。それらはゆっくり流れていた昭和の時間を思い出させてくれる。わが家は高台にあるせいか、夏は比較的涼しく、特にダイニングは真夏でもクーラーを入れたいと思うことはあまりない。昭和風情の生活はこのまま続くように思われた。ところが数日前、「ダイニングの石油ストーブを電気ストーブにしてほしい」とヨッパライ某が言いだした。灯油を運ぶのがきついのだと。そう、ぼくたちはいつの間にか年をとってしまったのだ。軽かったものが重くなり、近かったところが遠くなる。そんなわけで、今日、仕事を終え、店じまいしたあとで、近くの電気店にエアコンを買いに行った。