雨のWednesday

たまにコーヒーを買いに来るハードボイルド小説風の美女が言った。
フェリーニの道、ツタ屋になかったです。
そうか、この美女はツタ屋で映画を借りているのか。
ぼくは遠い目になった。
なぜかというに、ぼくも数年前まで近所のツタ屋で映画を借りていたのだ。
しかし、そのツタ屋はもうなくなってしまった。
ツタ屋はぼくの記憶から消えようとしている。
ぼくはまた言った。
フェリーニの道は何としてでも見るべき映画の一つですよ。
探してみます、とハードボイルド美女は言った