never let me go

父はケチなので暑くてもクーラーを使おうとしない。扇風機なら使うだろうから、それを出して父のベッドのそばに置いてくれ、という電話が妹からあった。夕方ヒマができたので父の部屋に行き、どこかにあるはずの扇風機を探した。それは使っていない部屋の隅にポツンと佇んでいた。今までぼくはこんなにきたない扇風機を見たことがなかった。ぼくはそれを持ち帰り、外せるものは全部外して洗剤で丸洗いし、本体には雑巾をかけた。醜いアヒルの子は見違えるようにきれいになった。それをもって父の部屋に行くと、父はちょっと驚いてこういった。その扇風機は先日ゴミと一緒に出したのだが、持って行ってくれなかったんだ