交信中の男

171127_11

朝、木々の生い茂った公園の遊歩道を歩いていると、木立の中から両耳にイヤホンを押し込んだ短髪の男がすたすた歩いてきた。あいさつしようと目を合わすが、まるでぼくが見えないかのように、正面をキッと見据えたまま速足ですたすた歩いてきて、するりとすれ違った。きっと彼は重要な任務を帯びた宇宙人なのだ。目的地へと歩きながら、軌道を周回している宇宙船と交信中なのである。じゃまをするとレーザー銃でビーッとやられてしまう。さわらぬ宇宙人にたたりなし、とはこのことだ